巨人・阿部慎之助監督が、前半戦の報告に山口寿一オーナーのもとを訪れたのは7月22日。「(打線を)1番から5番固定できたことなど、野球の話をたくさんした」と阿部監督も笑顔で話した。
何かと言われた阿部巨人だが、セ・5球団全てに勝ち越しで、これは球団としても34年ぶりの快挙。首位巨人から4位の阪神まで3.5ゲーム差という稀に見る大混戦だが、「今シーズンのジャイアンツはどうしても勝ちたい。それは(阿部監督も)分かってくれていると思う」(山口オーナー)と、優勝をミッションに課している。
そんな今季の巨人で昨季までと大きく異なる点といえば、助っ人外国人が当たっていること。開幕前にメジャーで8年連続2桁ケタ本塁打を記録したオドーア外野手(推定年俸2億円)を獲得したが、開幕2軍を嫌い早々に帰国。それでも焦らなかったのは国際スカウト部で、5月にはヘルナンデス外野手(推定年俸5000万円)を獲得した。
「メジャーでは通算14試合しかないにもかかわらず、3割4分台の打率をキープして貧打の巨人を救いました。ヘルナンデスは国際部が単独でリストアップした選手。その部長は今、吉村禎章編成部長が兼任しているんです」(巨人担当記者)
これまでの巨人といえば、外国人助っ人がハズレ続き。そこで吉村部長はメジャーだけではなく、中南米にもスカウトマンが動けるシステムを作った。
「巨人はヘルナンデスに関して、2年前から獲得に向けての調査を続けてきたそうです。両者にその長期間の信頼関係があったからこそ、今回の緊急補強も実現したわけです」(夕刊紙記者)
2019年末にはメジャー人脈が太い、西武や横浜などで活躍したデニー友利氏を「海外スカウト」として中日から引き抜き、吉村部長の右腕として奮闘している。巨人は大枚をはたいて助っ人を獲得することでお馴染みだったが、そこからの脱却への努力が、阿部監督の就任とタイミングを同じくして実り始めている。
(小田龍司)