1990年代は、いまだに語り草になる名作ドラマが次々と放送されていました。また、マンガ原作のドラマ作品も数多くあり、マンガをドラマ化するという流れも目立つようになった時期でもあります。
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【画像】え…っ? 「みんな美しすぎ」「2013年になっても変わらない」 こちらが『ショムニ』でおなじみの女子社員たちのミニスカ姿です(3枚)
いまだに視聴するファンも? 世代を超えて親しまれるマンガ原作の人気ドラマ
2024年4月1日に、「カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ」として『GTOリバイバル』が放送されたことは記憶に新しいでしょう。1998年放送のドラマ『GTO』が1日限りの復活を果たし、話題を集めました。同作は藤沢とおる先生が手がけた同名マンガの実写版で、当時を振り返ると、1990年代にはマンガ作品を原作にした人気ドラマが多かったように思います。
たとえば「モーニング」で連載されたマンガ『ショムニ』(作:安田弘之)は、1998年に同名タイトルでドラマ化されました。
舞台は、OLの掃き溜めと呼ばれている部署「満帆商事総務部庶務二課」の通称「ショムニ」です。そこに配属された女子社員のうち、「女の価値は男の数」と言い切ってしまう「坪井千夏(演:江角マキコ)」を中心に、社会常識や会社内の上下関係にとらわれている情けない男たちをばっさりと切り捨てていくというドラマです。
『ショムニ』はその後にシリーズ化されるほど人気を博し、当時の視聴者からも「これほど明るく楽しく痛快なドラマは滅多にない」「坪井さんのひとことがカッコよすぎる」「今見ても全然笑えるほどの面白さ」といった好評の声が多くあります。
ドラマ版は原作からの改変が多く、下ネタの要素がカットされ、原作では京野ことみさん演じる「塚原佐和子」が主人公であるほか、マンガではおしゃべりかつ嘘つきな関西弁の人物「徳永あずさ(演:戸田恵子)」が、仕切り屋の標準語のキャラに変更されていました。それでも、「原作改変で成功したドラマ」「原作の面白さとは別だけど、地上波では再現できないから内容変えて正解」と、改変の成功例として語られるようになりました。
また、1990年前半から「週刊少年マガジン」で連載が始まったマンガ『金田一少年の事件簿』(原作:金成陽三郎/作画:さとうふみや)も、1995年にドラマ化されました。やはり探偵「金田一耕助」の孫である、「金田一一(演:堂本剛)」の決めゼリフ「ジッチャンの名にかけて」を覚えている人も、多いのではないでしょうか。
同シリーズは、不動高校2年生でミステリー研究会所属の一と、同級生の「七瀬美雪(演:ともさかりえ)」とともに、巻き込まれた事件を解決していくという物語で、作中ではホラー要素や残酷な描写もあり、トラウマを植えつけられた視聴者もいたようです。
主役を演じた堂本さん以降も新シリーズになるごとにキャストが変更され、これまでに金田一一を担当したのは、松本潤さんや亀梨和也さん、山田涼介さん、道枝駿佑さんでした。やはり初代『金田一少年』の人気が特に高いようで、ネット上には「怖さ、グロさでいえば群を抜いて初代だな」「不穏な感じはもちろん、コメディにロマンスもあって良いドラマだった」など、語り継がれています。
ほかに、世代でなくとも名前は誰もが聞いたことがありそうな有名ドラマでは、柴門ふみ先生によるマンガのドラマ版『東京ラブストーリー』(1991年)がありました。
同作は、田舎から東京の会社にやってきた若者「永尾完治(演:織田裕二)」が、幼なじみの「関口さとみ(演:有森也実)」に想いを寄せながら、関口は永尾の同級生「三上(演:江口洋介)」に心惹かれており、さらに、完治は同じ会社の「赤名リカ(演:鈴木保奈美)」に愛を打ち明けられる、という複雑な恋模様を描いたドラマです。
当時は一世を風靡した月9のトレンディドラマだったこともあり、同作を思い返す人は多く、ネット上には「ただの恋愛ドラマではなく、男女の恋による動きが細部まで描かれていて完成度が高いと思う」「確かに昭和だから成立する部分もあるけど、時代的背景から人間の変化が読み取れる良い作品」「いまだに最後のシーンが本当にやばいって感じる」といった声が出ていました。同作は後に『Mother』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』など、数々の名作ドラマを手掛ける脚本家の坂元裕二さんの出世作でもあります。
2020年には、完治を伊藤健太郎さん、リカを石橋静河さんが演じたリメイク版が放送され、当時生まれてなかった世代の視聴者にも同作の魅力が伝わることになりました。