「次の目標は全米オープン出場!チャンスはあるはずだから!」
予定の時間を過ぎても、ハキハキと小気味よく話を聞かせてくれた阿部未悠選手。彼女はこの10日後に埼玉で初優勝を飾ることになる。
その大会の最終日11番ホール(パー4)で、インタビュー冒頭に話してくれた「攻める流れを切らさないマネジメント」が見事にハマるのだ。10番のバーディで首位の佐久間朱莉に1打差に迫り、追撃ムードが高まったところだったが、2打目を木に当ててしまい、スタイミー気味の3打目をどうするのか、かなり時間をかけて考えていた。
リゾートトラストでのホールインワンのときのように、逃げるのは好きじゃないとばかりに、イチかバチかピン方向に狙ってくるのかと予想したが、ここで彼女はピン方向ではなく、冷静に真横に出した。攻める流れを切らさないため、最優先にしたのが“大ケガ”の可能性を排除することだった。
結果、このホールをナイスボギーで上がったあとに、すぐにバウンスバックすると、後半4連続バーディで佐久間を突き放し、見事コースレコードで念願の初優勝を果たした。
もちろん数日前に話を聞かせてくれた選手が、優勝したことはうれしいというほかないが、驚きはまったくなかった。
インタビュー時に「今季なるべく早く初優勝」と宣言していたし、すべての質問に迷いなく答えてくれた彼女のその口調は、「有言実行」という言葉をまとっていたからだ。おそらく、今季もうひとつの目標としている、全英オープンへの出場もかなうだろう。
そこでの活躍については言及していなかったが、今の阿部未悠が手ぶらで帰ってくるはずはない。
いかがでしたか? 阿部選手の活躍を応援していきましょう!
阿部未悠
●あべ・みゆう/2000年生まれ、北海道出身。2022年にリランキングから参戦して翌年のシード権を獲得。2023年は富士フイルム・スタジオアリス、富士通レディースで2位タイ。2024年、富士フイルム・スタジオアリスで初優勝。ミネベアミツミ所属。
文=ひよこきんぎょ
写真=ゲーリー小林
撮影トーナメント=パナソニックオープンレディース