2024年7月12日から人気マンガ『キングダム』の実写版の4作目『キングダム 大将軍の帰還』が公開されており、今回が「最終章」であることを残念がる声も多数出ています。そして、この実写シリーズでは残念ながら「登場しなかった」キャラも、改めて話題になっていました。



映画『キングダム 大将軍の帰還』ポスタービジュアル (C)原泰久/集英社 (C)2024 映画「キングダム」製作委員会

【画像】え…っ? 「長澤まさみの楊端和が完璧」「成キョウが座り方までまんま」 こちらが再現度高すぎた『キングダム』キャラたちです(12枚)

短い出番だけど観たかった人気敵キャラ

※この記事では『キングダム 大将軍の帰還』および、実写化されていない範囲の原作マンガのネタバレに触れています。

 人気マンガ『キングダム』(著:原泰久)の実写シリーズ「最終章」である『キングダム 大将軍の帰還』は、2024年7月12日から公開され、21日までに動員241万人、興収36億円を記録しています。ここまでの大ヒットシリーズとなった要因には、実写『キングダム』が原作に最大限のリスペクトを払い、再現することを意識してきたことも大きいでしょう。

 特にキャラクターのビジュアル、演技が絶賛されているケースが多く、主人公「信」役の山崎賢人さん、4作目で大きな見せ場を作った大将軍「王騎」役の大沢たかおさんらメインキャラの再現度はもちろん、「飛信隊」の副長「渕」を演じた田中美央さんや、1作目で信と戦った「朱凶」役の深水元基さんなど、脇キャラでも原作そのままの見た目のキャストも多数出てきました。

「ムタ(演:橋本じゅん)」や「ランカイ(演:阿見201)」など、実写化されなくても仕方のないマンガならではのキャラもしっかり登場し、感動した人も多いのではないでしょうか。

 一方で、2時間強の映画4本の時間では登場させられなかったと思われ、不在を残念がられるキャラもいます。飛信隊のなかでも「田有」「松左」「崇原」ら人気キャラがいないほか、3、4作目で描かれた「馬陽の戦い」で登場するはずの、秦国、趙国の武将たちも何人か削られました。

 そのほか、始めて本格的な合戦が描かれた2作目『運命の炎』では、千人将「縛虎申(演:渋川清彦)」や将軍「ヒョウ公(演:豊川悦司)」らがしっかりと原作通りの活躍を見せた一方、原作で短いながらも強いインパクトを残した「朱鬼」「麻鬼」のコンビが登場しませんでした。彼らは魏国の将「呉慶(演:小澤正悦)」配下の武将で、数々の将軍を討って「将狩り」と恐れられる実力者だったのですが、麻鬼が単騎で突っ込んできた信との斬り合いに負けて討ち取られ、朱鬼はそれを見て驚いている間に突進してきたヒョウ公にあっさり殺されています。

 実写版では、信は丘を取るための戦いで弓の名手「黄離弦(演:田口隆祐)」を討ち取ってはいるものの、麻鬼を倒した武功がないため、「これだと信が百人将に昇格するのに実績が足りないことにならないかな」「夜間の戦い(実写オリジナル)を削って、朱鬼と麻鬼を出してほしかった」と、SNSで残念がる意見も出ていました。

 信に関連するキャラクター以外では、原作の人気美女、宮女の「向」とその友人の「陽」も登場していません。向は特別な家柄でもなく、本人も自分の器量に自身がないものの、秦王「エイ政(演:吉沢亮)」の夜伽の相手(実際は隣にいるだけで手は出されず)に選ばれ、だんだんと本当に政のことを愛するようになっていきます。

 実写3作目『運命の炎』で、政が王騎に語った(信も盗み聞きする)命の恩人「紫夏(演:杏)」のエピソードは、原作では向だけに話していた過去でした。この改変は原作者の原泰久先生のアイデアによるもので、政が中華統一を目指す理由を王騎と信が知るという展開は、4作でまとめる実写版ならではのドラマとしては効果的です。

 ただ、人気キャラの向は実写化が始まって以降、「向の『ご武運を』の場面が好きすぎるから絶対出してほしい」「向ちゃん実写化するなら岸井ゆきのさんがいいなぁ」などと期待を集めていただけに、登場しなかったことを悲しむ声は少なくありません。向は政と丞相「呂不韋(演:佐藤浩市)」の宮中での争いでも、重要事実を知る大事な役割を果たします。その彼女が登場しないということは、やはり実写版ではそのエピソードまでやる予定はないのでしょうか。

 そして、「馬陽の戦い」で削られたキャラのなかで、特に惜しむ声が多いのが、趙の武将「渉孟」と秦の武将「録嗚未」です。でっぷりと太った身体と辮髪(べんぱつ)の姿で、語尾に「アル」がつくコミカルな設定ながら、「破壊の渉孟」と恐れられる渉孟は、短い出番でファンから愛されるネタキャラとなりました。自信家の渉孟は、実際に一撃で何人もの敵兵を蹴散らす実力を持っています。その彼が調子に乗って王騎に立ち向かい、死の直前に格の違いを悟って無様に斬られる場面は名シーンとして人気です。

 こちらもいなくなってしまった王騎軍の軍長「鱗坊」との毒舌合戦も人気だったため、「イケメン化してもいいから出てきてほしかった」「やっぱ王騎の引き立て役で渉孟必要だったんじゃないか?」などと惜しまれています。

 また、王騎軍のなかで「謄(演:要潤)」に次ぐ実力を持つ、第一軍長の録嗚未は馬陽の戦い以降も印象的な活躍を見せる人気キャラです。『キングダム』ファンの間で「ぜひここまで実写化してほしい」と望む人が多い「合従軍編」でも、楚国の将「臨武君」との対戦や、戦象を駆使する軍との戦いで武功をあげるなど重要な役割を果たしました。熱い性格かつ、謄から何度もいじられる三枚目のポジションでもあります。

 録嗚未が登場しなかったことに関しても、「録嗚未さんがいないんじゃ合従軍やっても物足りなくなってしまう」「16巻の泣いて激昂する録嗚未が観たかったのに」と残念がる原作ファンの声が多数出ていました。王騎軍の軍長たちは、「干央(演:高橋光臣)」以外はっきりと登場はしていませんが、王騎のそばで騎馬しているキャラが複数人登場しており、彼らが該当するのかもしれません。

 実写「キングダム」シリーズは各キャラの再現度が高いからこそ、不在の登場人物への不満も大きくなるのでしょう。これからも続編が作られて、向や録嗚未が登場することを期待する意見もありましたが、果たしてどうなるのでしょうか。

※山崎賢人さんの「崎」は正式には「たつさき」
※一部のキャラクター名の漢字の表記はカタカナにしています