いよいよパリ五輪が7月26日から開幕した。「芸術の都」「花の都」と称されるパリは、19世紀半ばにセーヌ県知事のジョルジュ・オスマンが行った「都市改造計画」によって作られた整然とした街並みに、歴史的なモニュメントが点在しているのが特徴だ。選手たちの熱戦とともに、芸術的な風景を見るのも楽しみのひとつになるだろう。

 そんな中、開会式の会場にもなる「セーヌ川」の水質汚染報道に驚いた人も多かったのではないだろうか。セーヌ川はトライアスロンとオープンウォータースイミングの競技会場になっており、水質の指標では水100mlあたり大腸菌の数1000以下での開催が適切とされている。しかし、会場となるセーヌ川のアレクサンドル3世橋周辺では、この値が1000前後で推移。世界各国から「本当に大丈夫なのか?」と不安の声が上がるのも当然だろう。

 もっとも、パリのヤバさはなにもセーヌ川に限ったことではない。日本とは比べものにもならないほど、路上にゴミが目立ついうのだ。旅行ライターが語る。

「おしゃれで洗練されたイメージの強いパリですが、実際に現地を訪れてみると、一部のハイソな地域を除き、とにかくゴミが多かった。対策としてパリ市は、公道に落ちているゴミや道路の穴、落書きなどの写真を投稿できる『DansMaRue』というアプリをリリースしたのですが、導入当初に報告された数は年間25万件以上にも上りました。五輪前にだいぶ改善されたとはいえ、『パリはキレイだけれどもクリーンではない』とよく言うように、見上げる建物は荘厳だけど目線を下げれば路上がフンとゴミだらけ、というのはパリではよくある光景でした」

 恐らくテレビ中継ではそんな部分が紹介されることはないだろうが、選手を応援するために現地を訪れた人は、パリに残る“暗部”を目の当たりにするかもしれない。

ケン高田

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