7月26日から公開中の『爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』は、テレビ朝日系で大人気放送中のスーパー戦隊シリーズ第48作「爆上戦隊ブンブンジャー」初の劇場版だ。本作でブンブンジャーのリーダー、ブンレッド/範道大也を演じるのは、これが映画初主演となる井内悠陽。今月、20歳の誕生日を迎えたばかりの期待の新星に、劇場版の見どころや俳優としての思いを聞いた。
-「ブンブンジャー」が俳優デビュー作とのことですが、物語も中盤に差し掛かり、現在はどんな手応えを感じていますか。
最初の頃は何もわからなかったので、とにかくしがみついていく感じでした。でも、撮影に慣れてきた今は、自分の考えや意見を出せるようになってきました。おかげで、楽しく撮影を進められています。
-そして迎える劇場版は井内さんの映画初主演作になりますが、公開を控えた今のお気持ちは?
撮影は終わっていますが、今まで観客として見ていた大きなスクリーンに、自分が映る実感がまだなくて。どうなっているのか、ドキドキすると同時に、楽しみにしています。
-劇場版の撮影に当たって、テレビシリーズと気持ちの上で違いはありましたか。
そこは考えないようにしました。演じるのはあくまでもテレビシリーズと同じ範道大也です。だから、変に「映画」を意識し、力が入り過ぎて雰囲気が変わってはいけないと思い、撮影では普段通りを心掛けました。とはいえ、テレビシリーズよりもスケールアップしている点は間違いありません。画面に映る情報量がぐっと増え、例えばテレビシリーズでは1話に1、2体しか登場しない苦魔獣(くるまじゅう/ブンブンジャーの敵)も、劇場版では何体も同時に登場し、迫力が段違いです。
-大人気動画クリエイターのHIKAKINさんが本人役でゲスト出演されていますが、共演の感想は?
小学生の頃、僕がYouTubeに接するようになってからずっと見てきた方なので、いつもと違う緊張感でそわそわしてしまいました。それこそ、小さなお子さんが憧れのヒーローに会ったときのような気持ちです(笑)。ただ、その緊張が映像に出てしまってはいけないので、現場では「自分はこの方を知らない。だから緊張するはずがない」と自分に言い聞かせ、集中力を保っていました。
-自動車をモチーフにした「ブンブンジャー」にふさわしく、伝統あるサーキット場“富士スピードウェイ”が舞台になるのも、映画の見どころですね。
初めてカーレース場に行き、コースにも入らせていただきましたが、想像していたよりはるかに大きくて驚きました。レーシングカーの走行音も、生で聞くとまるで飛行機の爆音みたいで。今までテレビで見ていたものとは段違いで、その迫力に圧倒されました。
-劇場版が公開される今月は、井内さんもちょうど20歳の誕生日を迎えるので、いい記念になりますね。
自分への誕生日プレゼントにもなるので、すごくうれしいです。プロデューサーにも「公開日を(誕生日の)7月12日にしませんか?」と冗談を言っていたくらいで(笑)。
-20歳の節目ということで、ご自身についてお伺いします。ここまで自分の道を切り開いてきた井内さんは、「ブンブンジャー」のキーワードである「自分のハンドルは自分でにぎる」を体現しているように見えますが、この言葉をどのように捉えていますか。
自分を貫くことは大切ですが、頑固になりすぎず、時には柔軟性も必要だと思っています。僕も性格は頑固な方で、俳優を目指したきっかけがテレビドラマだったこともあり、デビュー前にレッスンを受けていた頃は「ダンスやほかのことはやりたくない。演技だけやりたい」と思っていたんです。でも、そうもいかず渋々レッスンを受けていたら、ダンスで鍛えたリズム感がアクションに生かされるなど、今になって思わぬ形で役立つことも多くて。だから、自分の芯さえぶれなければ、周囲の状況に柔軟に対応していく方が、いい結果につながることが多い気がします。
-おっしゃる通りです。
しかもその言葉は、大也にも通じます。大也も、自分の芯になるものはありますが、周りの仲間が自分の予想を超えてきたときは、それを受け入れる柔軟さも持っているので。
-まさに井内さんのはまり役ですね。
「最初は興味なかったけど、やってみたら楽しくて好きになった」ということも、世の中にはたくさんあると思うんです。僕も元々、体を動かす方が好きなタイプで、じっと座って映画を見るのは苦手だったんです。でも、この仕事をする上で勉強のために映画を見始めたら、いつのまにか大好きになって。それから積極的にいろいろな映画を見ているうちに、人間ドラマに心動かされることも多くなり、自分の引き出しも増えてきました。今振り返ってみると、やってよかったなと。
-その姿勢が、井内さんの現在につながっているわけですね。
だから、「面白くないけど、やれと言われたからやる」というネガティブな考え方でなく、「どうしたらこれを楽しめるかな?」と前向きな姿勢で、新しいことに挑戦していくといいのではないでしょうか。そうすれば、いつの間にかそれが好きになり、そこから新しい道が開けていくこともきっとあるはずです。
-「ブンブンジャー」で描かれる「気分バクアゲ」にも通じるお話です。それでは最後に、映画を楽しみにしているお客さんへのメッセージを。
映画単独で完結する物語なので、テレビシリーズをご覧の方だけでなく、初めて「ブンブンジャー」に触れる方にもピッタリだと思います。サーキット場が苦魔獣になったり、過去の苦魔獣軍団が復活したり、アクションもパワーアップしたりと、大きなスクリーンにふさわしい迫力満点の作品に仕上がっています。僕自身、大好きなアクションに挑戦したシーンもあるので、ぜひ劇場で楽しんでください。
(取材・文/井上健一)