新アニメ化も決まった『地獄先生ぬ~べ~』には、いま思い返しても震え上がってしまう「ガチホラー回」が多々あります。特に読者の心に残ったのは、どのようなエピソードなのでしょうか。



新アニメ『地獄先生ぬ~べ~』のティザービジュアル (C)真倉翔・岡野剛/集英社・童守小学校卒業生一同

【画像】え…っ? 「マジ怖そう」 これが新アニメ『ぬ~べ~』のおどろおどろしい「童守小」の風景です(3枚)

大きな成長から先生たちの努力が伝わってくる

 2024年7月21日に『地獄先生ぬ~べ~』の新アニメ化が発表され、大きな話題を呼んでいます。原作は1993年から1999年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された人気学園ホラーマンガで、続編を含むシリーズ累計発行部数は2900万部を記録している作品です。

『ぬ~べ~』の新アニメ化に伴い、ネット上では同作の「トラウマになったエピソード」の思い出を語る声が相次いでいます。「鬼の手」を持つ主人公の教師「鵺野鳴介(ぬ~べ~)」が最終的に助けてくれるとはいえ、「童守小学校」の生徒たちはかなり恐ろしい妖怪、幽霊、怪異に襲われてきました。

 新アニメを記念して、8月23日まで2023年の連載開始30周年のタイミングで発表された『地獄先生ぬ~べ~ 30周年記念傑作選』3巻が無料で読めるようになっており、そのなかには「ガチホラー編」と銘打たれた本格的恐怖回のまとめの巻もあります。

 原作の真倉翔先生と作画の岡野剛先生が選んだガチホラー回10本を見てみると、「散歩する幽霊の巻」「真夜中の優等生の巻」「てけてけの怪の巻」「『A』がきた!の巻」「赤いチャンチャンコの巻」「七人ミサキの巻」「ブキミちゃんの巻」「見たら死ぬ!海難法師の巻」「メリーさんの巻(前後編)」と、思い出すだけでも怖くなるタイトルが並んでいました。

 ただ、『ぬ~べ~』のトラウマ回は当然これだけでは収まりません。そのほかにも、読者の子供たちを震え上がらせた恐怖エピソードが多々ありました。

 初期の恐怖エピソードでは、2話にまたがって描かれた「はたもんばの呪いの巻」も強烈です。かつて無数の罪人の首を斬り、その怨念で妖怪になってしまった刀の付喪神「はたもんば」は、呪った相手の身の回りの物質を鋭い刃物に変えてしまう能力と、回転させて高速で移動することも可能な強靭な刃をもつ手強い妖怪でした。

 はらわたが飛び出た落武者のような見た目のはたもんばは、夜の学校で処刑場跡の賽銭を盗んだ生徒「木村克也」ほか子供たちを執拗に追いかけ回します。はたもんばは作中で初めて鬼の手を攻撃した強敵でもあり、簡単に倒せない絶望感も込みでトラウマになっている人が多いようです。ちなみに、はたもんばの能力が有効活用される「人面疽の巻」も恐ろしい回でした。

 また、ビジュアル面のインパクトでは「人食いモナリザの謎の巻」も有名です。小学校のウサギが相次いで殺され、図工室にある「モナリザ」の絵が食い殺したという噂が生徒の間で広まります。実際は変質者がウサギを殺していたのですが、悪い噂が「画霊」に影響を与え、魂を持った複製画のモナリザは夜な夜な絵から抜け出すようになり、ぬ~べ~が与える死んだ魚を食べるようになってしまいました。ラストでは、ウサギ殺しの真犯人が夜に学校に忍び込み、封印されていたモナリザの餌食になります。

 口を大きく開けて絵からぬうっと出てくるモナリザの見た目が忘れられないという声は多く、『進撃の巨人』の作者である諫山創先生も、小学生時代に読んだ「人食いモナリザ」がトラウマとなったそうです。電子書籍ストア「honto」のインタビューでは、このモナリザが『進撃の巨人』に出てくる人食い巨人のモデルになったことを語っています。

『ぬ~べ~』では、実際にありそうと思ってしまう妖怪、幽霊以外の脅威を描いた回もありました。なかでも、「寄生虫の巻」は生々しい描写で、食欲がなくなってしまうようなトラウマエピソードです。

 郷土資料室にあった江戸時代の丸薬のような乾燥食を食べた生徒「立野広」は、徐々に気分が悪くなり、ついに給食中に吐き気を催しました。しかし、吐き出されたのは吐しゃ物ではなく、巨大な青虫のような生き物だったのです。「ピキ~」と奇声を発すること寄生虫は、広の体内で急成長し、消化器官いっぱいに詰まった状態となりました。寝ている最中にも広の体外に管を出して卵を産み、さらには広の身体を突き破って出てこようとします。

 ぬ~べ~は鬼の手のなかにいる恩師「美奈子先生」の協力を得て、何とか寄生虫を広の体外に引きずり出しました。最終的にヤマタノオロチのようになっていた寄生虫のおぞましいビジュアル、実際にありえそうな生物の脅威のインパクトは絶大で、「この回だけ途中で読むのやめた」「二度と読み返せない」「アゲハ蝶の幼虫に似てたから、アゲハ蝶も見るの嫌になった」など、屈指のトラウマ回として語り継がれています。冒頭では、江戸時代などのいくつか寄生虫(エキノコックス、サナダムシ)の事例も紹介され、本当に恐ろしくなってしまうエピソードでした。

 そのほか、旧アニメ『ぬ~べ~』では最終回で描かれた「次元妖怪・まくらがえしの巻」も、直接的な描写はないものの、恐怖回として有名です。ある夜、寝ていた生徒「稲葉郷子」の部屋に妖怪「まくらがえし」が現れ、彼女の枕をひっくり返します。翌朝、小学生の郷子の精神は26歳となった未来の世界を訪れていました。小学生の心のままいきなり大人になった彼女は、その後「そうなってほしくなかった残酷な未来」を次々と知ることになります。

 かつて郷子と両想いだった広は高校時代に大げんかをして別れて、その後、親友「細川美樹」と結婚しており、恩師のぬ~べ~は悪霊との戦いで全身まひとなって廃人状態で生きていました。ヒロインの「ゆきめ」とは再会できず、「高橋律子」先生に身の回りの世話してもらいながら生きるぬ~べ~を見て、郷子は泣き叫びます。すると、ぬ~べ~が郷子の頭に鬼の手を当て、彼女を混乱させて楽しんでいたまくらがえしを捕まえて、小学生時代に戻してくれました。

「まくらがえしの巻」は見たくない最悪の未来が描かれた回として多くのファンの心を抉ったようで、「いまで言うパラレルワールドものの先駆けだが、ネガティブ過ぎ」「まくらがえしがトラウマになって19歳まで枕を使えなかったなぁ」「新アニメではまくらがえしエンドはやめて欲しい、トラウマになっちまうよ」と、たびたび話題になっています。

 新アニメ『地獄先生ぬ~べ~』のティザービジュアルやPVはかなりおどろおどろしい雰囲気を放っており、どの回がどのような演出で描かれるのか、いまから期待が高まります。令和の世でも、視聴者に多くのトラウマを植え付けるアニメとなるのではないでしょうか。