「ガンダム」作品にモビルスーツを始めとして多数登場する人型兵器、それらが使用する武器には観ていて思わずツッコミたくなるものがあります。今回は「オルタナティブ」シリーズから、特に変わったものをセレクトしてみました。
左腕のシールドは射出可能、だけど……。「HGAC 1/144 ガンダムデスサイズ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
【画像】「やりすぎじゃない?」こちらも相当いっちゃってる「全部のせガンダム」(10枚)
よく考えたら変? 思わずツッコミたくなる武器
1979年に放送された『機動戦士ガンダム』から始まる一大戦記、それが「ガンダム」シリーズです。これまで多くの作品が制作されてきた同シリーズには人型兵器が多数登場し、それぞれの武器を使用しながら激しい戦闘を繰り広げてきました。
そのような武器のなかでも少し変わったものについて、以前、「宇宙世紀」を舞台にした作品を中心に振り返ったところ、読者からも多くのツッコミがありました。今回は少し視点を変えて、宇宙世紀が舞台ではない「オルタナティブ」シリーズに登場する「ツッコミどころ」のある武器を見ていきます。
バスターシールド/「ガンダムデスサイズ」
『新機動戦記ガンダムW』に登場する「ガンダムデスサイズ」は、「ビームサイズ」と呼ばれる鎌形のビーム兵器を主な武器としたモビルスーツです。しかし、本モビルスーツにはもうひとつ、攻守一体の「バスターシールド」という特徴的な武器がありました。
普段は小型の盾として使用されているバスターシールドは、盾の先端部が開き、ビームを発生させ射出することで遠距離に対しての攻撃も可能です。一見、強力に見える本武器ですが、気になるのは射出後のことです。
直線的に飛んでいくバスターシールドは、射出後は手元に戻りません(ゲームなどでは戻ってくる描写も見られますが……)。そのため射出後はシールドなしでの戦闘を強いられます。もちろん第二射を放つこともできません。使用するのがリスキーで使い所が難しい、そのような武器であり、もし敵を撃破しても歩いてシールドを回収しに行くガンダムデスサイズの姿を想像すると不憫です。
仕込み錫杖/「マンダラガンダム」
右手に持っているのが錫杖。「GF13-044NNP マンダラガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
釣鐘型の下半身に、数珠を思わせる特異な手足……一度見たら忘れられない奇抜なビジュアルを持つのは『機動武闘伝Gガンダム』に登場する「マンダラガンダム」です。そのような風変わりな「モビルファイター(本作における主要人型メカの呼称)」が使用する武器は「錫杖(しゃくじょう)」と呼ばれる杖の一種でした。
「モビルスーツの武器が杖?」そう驚く方も多いでしょう。しかしこの錫杖で真に驚くべきは、ビームサーベルが仕込まれている点です。パイロットである「キラル・メキレル」は錫杖による中距離攻撃とビームサーベルによる近距離攻撃を巧みに使い分けて敵を翻弄します。「長いビームサーベルだけでよくない?」などと思ってしまいますが、そこはロマンを追求したのかもしれません。
さらにこの錫杖は、必殺技「炎獄烈風」の発動時には頂部から炎が噴き出し、相手を火だるまにするのです。ぶっ飛んだ世界観の『Gガンダム』ながら、ここまでツッコミたくなるギミックが満載の武器は珍しいでしょう。
右手に持つのが「シュ(中略)モード」。「MGEX 1/100 ストライクフリーダムガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
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ツッコミどころは「名前の長さ」
シュペールラケルタビームサーベルアンビデクストラスハルバードモード/「ストライクフリーダムガンダム」「インフィニットジャスティスガンダム」
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する高出力で長刀身のビームサーベルは「シュペールラケルタビームサーベル」と呼ばれます。これを2本、柄同士を合体させ双刃刀状態にすると「シュペールラケルタビームサーベルアンビデクストラスハルバードモード」が完成します。
本武器の一番のツッコミどころは、名前の長さにあります。文字数にして33文字にも及ぶその名は、口にすると響きが心地よくありますが、戦闘中に発したら言い終わるまでに状況が一変してしまうでしょう。
名前のインパクトこそ強力なものの、劇中ではさほど目立った見せ場がありません。相手と逆側の刀身が自身を傷つけてしまうリスクがあり、使い勝手が悪かったのでしょうか。とはいえ(舞台は異なるものの)「ゲルググ」の「ビームナギナタ」という先例もあります。見た目はかっこいいため、もう少し活用の場が欲しかったところです。
ヴィーセルナーゲルビームブーメラン/「イモータルジャスティスガンダム」
本機のシールドもブーメランとして射出可能。「HG 1/144 イモータルジャスティスガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズには多くのブーメラン型兵器が登場します。その最新型として『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』には、「イモータルジャスティスガンダム」の「ヴィーセルナーゲルビームブーメラン」が登場しました。
弧を描く軌道で相手の想定外の位置から襲いくるのがブーメラン型兵器の特徴です。ただし本武器は手に持つことで近接戦闘においても力を発揮します。その切れ味は鋭く、大型モビルスーツの腕をも容易に切り裂きました。
驚きの高性能と汎用性を発揮する本武器ではあるものの、どうしても気になるのが相手に奪われるリスクです。ブーメランである以上、本武器は相手に向けて投げることを用途としています。それを敵がキャッチしたり、盾や障害物で止めて使い始めたりしたら……心配性の筆者だったら恐ろしくて投げられませんが、そこはさすが作中屈指の操縦技術を持つ「アスラン・ザラ」といったところでしょうか。
『水星の魔女』には変な武器がない?
ここまで「オルタナティブ」シリーズに登場したツッコミどころのある武器を振り返ってきました。ただ、そうした「ツッコミどころのある武器、道具」が存在するのは「ガンダム」シリーズの世界に限ったことではありません。私たちが暮らす現実世界にもツッコミどころのある武器、道具は存在します。
しかし私たちはトライアンドエラーを繰り返しながら道具の便利さを追求してきました。翻って考えてみるに、最近になるほど「ガンダム」シリーズで変な武器は減っている印象があり、近作である『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にはツッコミどころのある武器が見当たりませんでした。もしかしたら、「ガンダム」という作品の制作現場でも武器の洗練が進んでいるのかもしれません。