細田佳央太さんが主演を務めるドラマシリーズ『七夕の国』が、ディズニープラス「スター」で独占配信中。本作は、役に立たない“超能力”をもつ平凡な大学生ナン丸が、ある日、ビルや人が謎の“球体”にまるくエグられた怪事件の真相解明に巻き込まれ、丸神の里と呼ばれる閉鎖的な田舎町・丸川町を訪れるが、そこで自分がこの町に先祖をもつ“球体を操る能力者”だと知るというストーリー。

人間を超越した能力を持つ東丸家の長男・東丸高志を演じるのが上杉柊平さん。girlswalkerでは、上杉さんに高志を演じる上で意識したこと、主演の細田さんの印象、ほしい超能力などについてお聞きしました。

SPECIAL INTERVIEW

東丸高志はとにかく悲しいヤツ

──本作はタイトルからは想像もつかないような世界観の作品になっていますが、原作はご覧になっていましたか?

上杉柊平(以下、上杉)「実は、作品自体はずいぶん前から知っていました。学生の頃から読んでいたのですが、改めてこの映画のオファーをいただいた時に読み直してみたら、大人になったからこそ気づくことも多くて。球体というのはもちろんインパクトとして大事ですし、作品の中でちゃんと意味を持っているんですけど、この球が何であろうと正直なんでもいいと思っているんです。今だったら別に脳みそでも、スマホでもいいですし、大事なのは使い方なんじゃないかなと思いました」

──作品のどんなところに魅力を感じましたか?

上杉「僕がすごく惹かれたのは、閉塞的な村に今も残る伝統行事や、国民が自然と信仰する八百万(やおよろず)の神のようないろんな神様がいること。たくさんの神様がいる中で、それを自然と受け入れている事実を改めて感じましたし、村の集まりがこの国でもあるんだなっていうのを現実として突きつけられたというか。それがナン丸くんの視点を通して客観的に見せられることで、我々って実は丸神の里(丸川町)の人間なんじゃないかって気づかされました」

──ナン丸くんの視点で描かれているからこそ、俯瞰して村を見ることができますよね。

上杉「そうなんですよ。やっぱりナン丸視点で見るんですよね。この村おかしいよねって。でも我々は自由になりたいと望んでいる(丸神)頼之さんでもあるんですよね。閉鎖的な丸神の里と呼ばれる町に日本という国を重ね合わせて見ることができました」

──上杉さんが演じる東丸高志は球体の力を悪用するという役柄ですが、どのようなイメージで撮影に臨みましたか?

上杉「ただ愛されたくて、ただ認められたい。でも、その経験がないままに育ってしまった可哀そうなヤツだって僕は思っていて。その結果、吐き出し方が他の人とは異なっていた。それが高志なんですよね。自分が演じたからですけど、悪いキャラクターだとは思っていなくて、とにかく悲しいヤツなんですよ。高志本人は自分のことを悪いとは思っていなくて、村の環境と親のせいにしている。そんな高志の思いを肯定しながら演じました」

──作品を見ていると、高志は自分が思っていることを表現するのが下手くそな人だなという印象がありました。

上杉「そうですね。僕自身が彼を見てそう思えるのは僕が多分恵まれた環境にいるからなんですけど、その役を理解するにあたっては、彼にはそれしかないんだろうなという落としどころを見つけて演じました」

──その感情を表現する時に、例えば表情や声のトーンは意識されましたか?

上杉「いや、今回に関しては、表面に出るところでこうしようって意識したところはないです。ものによってはあえて声のトーンを意識して、表面的なところを作らなければいけないと思うんですけど、今回は内面をいかに作るかを考えました」

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細田さんは体が強かった(笑)

──主演の細田さんとは今回が初共演ですが、共演されてみてどんな印象を持たれましたか?

上杉「僕、実は細田さんのことを勝手に好きで、すごく楽しみにしていました。今回はご一緒するシーンが多かったので、目の前で細田さんとお芝居ができて楽しかったです。役としては、僕がどんどん振り回していくことが多い中で、振り回されているナン丸くんが魅力的で愛らしいと感じました」

──細田さんのどんなところが魅力的だったのでしょうか?

上杉「そう言われると難しいんですけど、なんか目が好きなんです(笑)今回の役はわりと掴みどころも難しく、はっきり言葉を言う時の言葉の回し方とかを見ていて、『あ、うまいな』って思いました」

──撮影現場でのエピソードはありますか?

上杉「撮影の合間でちょこちょこ会話をさせていただいて、よく趣味の話をしていました。役としては必要な会話を端的にしていたことの方が多かったですけど、いろんなことを話ましたね。出来上がった作品を見て、僕が現場にいなかったところが多いので、色々見ていくと、すごく素敵な俳優さんで、今回ご一緒できてよかったなって思いました」

──細田さんと共演されてみて、想像していたイメージとのギャップはありましたか?

上杉「ギャップって言うほど、先入観みたいなものは持ってなかったのですが、すごく落ち着いているというか、しっかりしているなと思いました。僕が22歳の時ってちゃらんぽらんだったような気がするんですけど、細田さんは、難しい作品の中でどう素晴らしいものにしていくのか、言葉じゃなくてお芝居で引っ張ってくれている感じがしました。最初はどういう方か分からなかったんですけど、お会いしてみたら芯が強くて、ドシッとされている方という印象ですね」

──確かにしっかりされている印象はありますよね。

上杉「あ、あとあれだ、細田くんを僕が怒って帰れって言って詰め寄るシーンがあるんですけど、テストの時はもっと詰め寄って、掴みかかったりしたんですよ。そしたら体が強かった(笑)『胸板厚いね』というようなことを言った記憶があります」

上杉さんがほしい超能力は?

──本作では超能力が鍵を握っていますが、上杉さんがもし超能力を扱えるとしたら、どのような能力がほしいですか?

上杉「実はさっきも楽屋でずっと話していて、いろいろあるんですけど、僕は髪の毛を自在に伸ばせる能力がほしいかな。『髪伸ばしたい』って思うことがよくあるんですよ。でも、お仕事の関係で自由にできないことも多いんです。もちろん空を飛ぶといった大きな超能力は全部ほしいですが、小さい能力で言ったら髪を伸ばしたいです」

──俳優という職業柄、なかなか自分の好きな髪型にできないですもんね。

上杉「そうなんですよね。すぐ次の作品が始まっちゃうと、基本ずっと同じ髪型になってしまうので。映画とか見てロン毛のかっこいい人が出ていると、次の日にそうしたくなるんですよ。『トレインスポッティング』を見たら坊主にしたくなったり(笑)それを超能力でやれたらいいなって思います」

──本作は超常ミステリー作品と謳われていますが、上杉さんが考えるミステリー作品の魅力は?

上杉「オカルトでもないし、ホラーでもないしで納得しました。この作品を見ていて思うのは推理モノとは違って、答えが導ける話じゃないんですよね。超常ミステリーの面白さって、謎を深く知りたくなることだと思います」

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INFORMATION

『七夕の国』

ディズニープラス「スター」で独占配信中

《出演》細田佳央太、藤野涼子、上杉柊平、木竜麻生、鳴海唯、濱田龍臣、西畑澪花、深水元基、伊武雅刀、三上博史、山田孝之

《原作》岩明均「七夕の国」(小学館刊)

《監督》瀧悠輔、佐野隆英、川井隼人

《脚本》三好晶子、安里麻里、瀧悠輔

《脚本協力》大江崇允

《プロデューサー》山本晃久、若林雄介/中野剛、髙橋直也

《公式サイト》https://disneyplus.disney.co.jp/program/land-of-tanabata

© 2024 岩明均/小学館/東映

岩明均「七夕の国」(小学館刊)

HairMake:kazuma kimura(skavgti)

Stylist:RIKU OSHIMA

文:川崎龍也

写真:MISUMI