こんにちは。中学生と小学生の子を持つ、作家・教育ジャーナリストの佐野倫子です。今月いただいたご相談は受験期のママ友づきあいについて。お子さんの中学受験の伴走は、働きながらとなるとますます大変ですよね。私も本当に苦労しました。周囲の仲間と情報を共有したくなるのは自然なことだと思います。今回は、そのときに気をつけておきたいことを、2024年に中学受験伴走を終えたママたちに取材しました。
Q.今年、長女が中学受験予定です。働いているので、これまで受験勉強は塾に任せきり。でも6年生の後半は、さすがにそうも言っていられません。学校見学や志望校探し、どの模試を受けるべきか、直前講座の情報など、ひとりで情報を集めて乗り切る自信がありません……。LINEでつながっているママ友は何人もいますが、これまであたりさわりのない話だけするようにしていました。でも受験でストレスが溜まってしまい、結局同じ境遇の仲間に相談をするように。この先の本番直前期、お付き合いの仕方で気をつけるべきことはありますか?(港区区在住43歳/エミさん)
心強いママ友……しかし結果は?
「巷では、中学受験生時代はママ友づきあいは厳禁、子どもの志望校を話すのも厳禁、とよく言われますが、私はすごく仲のいい友人とは情報を交換していました。ただ、学生時代の友人だったり、遠くに住んでいたり、子どもの性別が違ったり、少し物理的に距離があるお友達のほうがいいと思います。
おなじ塾、おなじ小学校、おなじ第一志望、だと気を遣うシーンは増えると思います。クラスや偏差値が子どもの話を通じてわかってしまうと、お互い調子が悪い時はしんどいですよね」(女の子のママ・千代田区在住)
なるほど、中学受験の伴走をした筆者も、とてもうなずけるアドバイスです。中学受験は親の情報収集力が大切なので、同じ受験生の保護者の存在はとてもありがたいもの。
ただ、どんなに仲が良くても、状況や結果は決して同じではありません。それまで同じくらいの成績だとしても、合否は別れる可能性があるのが受験の厳しいところです。そのことを忘れることなく、節度を持って情報を交換するべきでしょう。
また、悪気がなくても、ほかの人に志望校や成績が伝わってしまうことがあるかもしれません。そうなってしまうとせっかく仲が良かったのにこじれてしまうこともあり得ます。何もかも話すのが正解とは限らない。そのことは忘れずに協力していけるといいですね。
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とくに志望校は口外しないが吉
「息子の塾は徹底して、友達同士、保護者同士では志望校や成績について口外しないようにとお達しがありました。そのおかげで大っぴらに口にする子はおらず、最後まで平穏が保たれました。
もちろん志望校特訓などでなんとなくわかってしまう場合もありますが、やはり建前として口外禁止とされているのと結果、トラブルはなかったよう。なんだかんだ、それがいちばんいいのかなと思いました」(世田谷区在住・男の子のママ)
やはり毎日通う塾や小学校では、志望校や成績については口外しないのがよさそうです。取材では、志望校に関してママ友だけに話したつもりが子どもを通じて広がってしまい、不合格だったので後から余計につらかった、というお話もありました。また、穴場だと感じて志望していた学校に関して根ほり葉ほり聞き出された挙句、そこを批判されて悲しい気持ちになった、というお話も。
受験生時代はどうしてもセンシティブになっているので、ささいな言葉も気になってしまいますよね。そういうときはお互い様と、距離を上手に取るのがいいでしょう。
筆者の経験から、受験が終われば、卒業式や卒塾のタイミングで仲のいいお友達の進学先は自然にわかるもの。なので、無理に事前に知っておく必要はありません。