子供の頃は何でも信じやすいためか、ホラーアニメを見て「本当に幽霊が来る」と信じた記憶がある人も多いでしょう。また、そういったホラージャンルのアニメのなかでも、子供の心に恐怖を植え付けた、本気のトラウマ回も存在しました。



ブキミちゃんが登場するOVA「地獄先生ぬ~べ~ THE OVA」(東映)

【画像】え…っ? 「令和になっても容赦なさそう」「マジ怖い」 これが新アニメ『ぬ~べ~』のおどろおどろしい「童守小」の風景です(4枚)

ウワサを聞いたら夢に出てくる悪霊

 大人になるとホラー映画やアニメを見ても、昔ほどは恐怖を感じない方も多いでしょう。しかし子供の頃に感じた恐怖はなかなか忘れられないもので、記憶にこびりついている作品もあるでしょう。これまでホラー系のアニメが多数放送されてきましたが、特にどのようなエピソードが、子供にトラウマを植えつけたのでしょうか。

『地獄先生ぬ~べ~』ブキミちゃん

 1990年代の「週刊少年ジャンプ」(集英社)で多くの読者に恐怖を与えた『地獄先生ぬ~べ~』(原作:真倉翔/作画:岡野剛)は、1996年から1997年まで放送されたTVアニメ版以外に、1998年から1999年にかけてOVA版も制作されました。そのOVA版『地獄先生ぬ~べ~』のひとつ「ブキミちゃん」は、聞いたら夢に出てくるというストーリーゆえに、トラウマになった人が多いようです。

 童守小学校で教師をする主人公「鵺野鳴介(通称:ぬ~べ~)」が、鬼を封じた左手「鬼の手」で悪霊や妖怪から教え子たちを守る物語のなかで、ブキミちゃんは「ブキミちゃんのうわさ」を聞いた人の夢に現れる悪霊として登場しました。

 ブキミちゃんは夢に入り込んだ相手に「ハーモニカを隠した」と責め立て、ハーモニカを取りに行けと命令してきます。取りに行く人は、ブキミちゃんが1回だけ教えてくれる道順に沿って、進まなければなりません。もし道順を間違えたら夢から出られなくなり、魂を引き裂かれてしまいます。

 作中ではぬ~べ~の教え子「細川美樹」がうわさを広めたことで、クラスメイトの夢にブキミちゃんが出てきてしまいました。勉強が苦手で道順を覚えられないクラスメイト「立野広」は、何日も眠らないというまさかの手段も通用せず、道を間違えて魂を引き裂かれそうになりますが、ぬ~べ~が生前にブキミちゃんが落としたハーモニカを見つけ、ギリギリのところで助かります。

 聞いたら夢に出てくるというシチュエーションに加え、一度でも道を間違えたら夢から出られなくなるという緊張感に、恐怖を覚えた子供も多いでしょう。ネット上でも「子供の頃はブキミちゃんの道順を覚えた」「当時はブキミちゃんの話を聞いて死を覚悟した」などの声があがっていました。

 なお、ブキミちゃんのエピソードのOVAは、原作とは結末が異なります。原作ではハーモニカにこもった怨念を浄化させてブキミちゃんが祓われた一方、OVA版では父親の形見であるハーモニカをブキミちゃんへ渡すことで、彼女は自分の意思で成仏します。『ぬ~べ~』は2025年に新アニメで復活する予定ですが、ブキミちゃんの回は描かれるのでしょうか。



子供たちが妖怪に立ち向かう「学校の怪談」DVD1巻(アニプレックス)

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あらゆる方法で迫りくる恐怖

『学校の怪談』ピアノお化け

 子供たちがお化けや妖怪に立ち向かうTVアニメ『学校の怪談』も、身の毛もよだつエピソードが多々あり、子供たちへトラウマを残しました。本作は、主人公の「宮ノ下さつき」らが誤ってさつきの飼い猫へ封印した妖怪「天の邪鬼」を追い出すために、さつきの母親が残した「オバケ日記」を使って妖怪たちを退治していく話です。

 多くの妖怪が出てくる同作で、なかでも忘れられないのは第4怪で登場した「ピアノお化け」でしょう。ピアノお化けは「エリーゼのために」を4回聴かせて、聞き終えた者を死に至らしめる妖怪です。作中ではさつきが曲を聴いてしまい、あと少しで4回目を聞き終わるというところまで追い詰められました。

「エリーゼのために」は、誰もが聴いたことがあるであろう有名曲のため、特に恐怖を覚えた人が多いでしょう。しかも、ピアノだけでなく電話やTV、ラジカセなど、あらゆるところから曲を聴かせて追い詰めてくる手口も恐ろしいです。

 SNSでは、「大人になった今でもエリーゼのためにを聴くとビクッてなる」「音が出るものに干渉できるとか最強すぎる」と、曲を聴いて『学校の怪談』を思い出す人や怖さを思い出す人も多いようです。

『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』人食いランドセル

 1994年から『ポンキッキーズ』内で放送された『学校のコワイうわさ 花子さんがきた!!』を観て、夜に眠れなくなった子供も多いでしょう。本作は人間に危害を加える幽霊や妖怪を、「花子さん」が倒してくれる話です。しかし、エピソードによっては花子さんが助けに来てくれず、悲惨な最期を迎えることもあります。

 そんな花子さんが助けてくれないトラウマエピソードで有名なのが、「人食いランドセル」です。この話では、お古のランドセルを使う女の子がある日、見知らぬ老人から新しいランドセルをもらいます。女の子は喜びますが、その夜、なんとランドセルがひとりでに動き出して、女の子を足から食べてしまうのです。

 ほぼ毎日背負うランドセルがひとりでに動き出し、子供を食べる姿に衝撃を受けた児童が多かったようで、ネット上でも「しばらくランドセルに近寄りたくなかった」「人食いランドセルでトラウマになって『花子さん』が見れなくなった」と、当時を振り返った恐怖の声が見られます。