パリ・セーヌ川の水質汚染問題が、思わぬ日本商品の特需を招いている。

 今大会、トライアスロン競技はセーヌ川が会場となったが、大腸菌をはじめとした細菌濃度が基準値を超えたため、2日続けて練習が延期になった。7月31日に行われた男子では、レース後、カナダ人選手が複数回、嘔吐しているシーンが国際映像で流され、世界中をザワつかせた。

 そんな中、女子トライアスロンに出場したベルギーのヨリーン・フェルマイレン選手が、水質汚染対策として競技前に「ヤクルト」を飲んだことを明かし、話題を集めている。どうやらベルギーの選手団に、ヤクルト本社から大量のヤクルトが送られていたというのだ。

 スポーツライターが語る。

ヤクルト本社は、2005年5月にベルギー王国ゲント市に研究拠点として、非営利法人ヤクルト本社(ヨーロッパ研究所)を設立しています。その縁もあり今回、ベルギーの選手にヤクルトが提供されたようです。ヤクルトに含まれる乳酸菌には大腸菌群を減らすという研究結果がありますから、選手は藁にもすがる思いで飲んでいたのではないでしょうか。トライアスロン競技の水面下では、人知れずヤクルトのシロタ株と、セーヌ川の大腸菌対決が行われていたというわけです」

 ヤクルトは7月30日に2024年4~6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比7.5%増の140億円だったことで、翌日の株式市場で株価が急騰しているが、その何割かはベルギー選手のコメントが影響したかもしれない。

 ヤクルトを巡っては、2022年4月に、タレントのマツコ・デラックスが「ヤクルト1000を飲んだら、すごい眠りがよくなった」「念のため2本飲んでる」とバラエティ番組で絶賛したことで、商品が爆売れし、一時はどこを探しても入手出来ないほどの大ブームになった。

 パリ五輪で注目を集めたことで、スーパーなどではヤクルトを手にする主婦の姿がいつもより多く目撃されているという。ヤクルトにとっては、思わぬPRになったのではないだろうか。

ケン高田

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