パリ五輪選手村の食事の評判がとにかくよくない。選手から不満が噴出してメディアを賑わせているのだ。

 イギリスのタイムズ紙は7月25日、イギリスの代表選手が「パリの食事は前回大会よりも格段に悪い」とコボしていると報道。「ピーク時には、チキンひと切れ手に入れるのさえ難しい」と内情を暴露している。イギリスの食事はまずい、味がないなどと言われるが、そのイギリス選手が文句を言うのだから、味は推して知るべしだろう。

 ドイツ男子ホッケー代表のクリストファー・リュールも独紙の取材に答え「控えめに言っても食事のレベルは最悪だ」と料理への失望を隠さなかった。アメリカ体操女子代表のシモーネ・バイルズは「ここにある料理はフランス料理ではない」と不満を漏らし、イタリアのフェンシング代表、アレッシオ・フォコーニは「量が少なすぎる!ラビオリは1人3個まで。ビュッフェなのにお代わりは禁止。まるで拷問だよ」と嘆く姿をインスタグラムで公開。フォロワーからは「お代わりくらいさせてやれよ」「ライバル国には兵糧攻め仕掛けてるのか」などといったコメントが寄せられている。

 そんなこともあり「東京はよかった」と、東京五輪の選手村の食事クオリティを評価する声が改めて広がっている。中でも、料理のレベルの高さを表しているとして注目を集めているのが、当時フェンシング協会会長を務めていた太田雄貴氏のSNSだ。太田氏は東京五輪のメインダイニング(食堂)について次のような感想を残している。

「ブッフェスタイルなので、自分の食べたい物を食べられる量で頂けます。ブッフェあるあるで、ついつい取り過ぎがちになるので、体重管理には要注意です」「噂になっている Halalハラールですが、選手村の食堂にはあります」「選手村にはメインダイニングとカジュアルダイニングが存在するのですが、カジュアルに初めて来たら、大人気。ほぼ日本食での構成なので、日本人向けかと思ったら沢山の国の方に楽しんで貰えてました。 もっと早く来れば良かった やはり日本食はグローバルで評価されてますね」

 スポーツライターが語る。

「太田氏の投稿には、美味しそうな食事、スイーツがこれでもかと紹介されており、東京五輪の選手村の食事がいかに充実していたかがわかります。食堂の食べ物は原則持ち出し禁止でしたが、用意されたお菓子について『帰りにポッケが膨れてる選手もいました。因みに僕は元森永製菓の社員です』と太田氏がユーモアたっぷりに綴るなど、日本のお菓子のおいしさも当時大反響を呼びました。パリ五輪で食事に対する不満の声があがったことで、あらためて東京で供された食事の凄さが再認識されているようです」

 太田氏によれば、東京五輪ではデザートとしてアイスの「スーパーカップ」「チョコモナカジャンボ」「ピノ」などが人気になっていたという。美食の国フランスの選手村の食事メニューはビーガン料理中心で、慢性的に肉や卵が不足しているというが、果たしてアイスなどのデザートは用意されているのだろうか…。

 パリ五輪、東京五輪に連続出場した選手は、今ごろ東京での食事を思い出し、懐かしんでいるに違いない。

ケン高田

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