映画には、その内容によって年齢制限が設けられる作品があります。また、PG-12指定作品に分類されR指定とまではいかなかったものの、過激な内容が多く描かれた作品もいくつかありました。マンガの実写化映画からいくつか振り返ります。
強烈な女子高生を演じた玉城ティナさんが印象的。画像は『惡の華』DVD(Happinet) (C)押見修造/講談社 (C)2019映画『惡の華』製作委員会
【画像】え…っ? 「二階堂ふみが!?」「ポスターでもうベッドに」 こちらが衝撃のR指定実写版です(8枚)
「ど変態」大活躍の過激マンガを実写化
アニメやマンガの実写化作品は、ときに原作の過激なシーンをリアルに再現したがために、映画倫理機構(映倫)からR指定の年齢制限がついてしまうことがあります。また、「PG-12(12歳以下の方が鑑賞の際は保護者等の助言・指導が必要)」の指定で済んだものの、過激な描写が描かれた実写版もありました。
『惡の華』
マンガ『惡の華』(作:押見修造)を原作とした同作は、2019年に伊藤健太郎さんと玉城ティナさん主演で実写映画化されました。『片腕マシンガール』や『電人ザボーガー』など、独特の作品で知られる井口昇監督が鬱屈とした青春物語を過激に描いています。
主人公「春日高男(演:伊藤健太郎)」は好きな人の体操服を盗んでいるところを、クラスの嫌われ者の女子「仲村佐和(演:玉城ティナ)」に目撃され、それを弱みにつけ込まれた彼は、とある「契約」を交わすのでした。
原作同様、仲村の春日に対する要求はもちろんのこと、PG-12作品ながらも過激なシーンが盛り込まれています。例えば、仲村と春日の関係に嫉妬するクラスメイトの「佐伯菜々子(演:秋田汐梨)」が、服を脱いで春日を急に押し倒すなど、生々しい場面が描かれました。
また春日は仲村に、盗んだ体操服を図書館で無理やり着せられて「たくさん匂いを嗅ぎまくってたんでしょ。ど変態が!」と屈辱的な言葉を投げかけられるなど、彼女のアブノーマルな性格な言動に驚く人も多いでしょう。しかし、ただ過激なだけではなく、思春期特有のモヤモヤや抑えきれない衝動などが表現されており、春日たちの終盤に向けての心の変化も見どころのひとつです。
『闇金ウシジマくん』
『闇金ウシジマくん』は同題マンガ(作:真鍋昌平)を原作とした実写作品で、TVドラマを経てこれまで4作品の劇場版が公開されました。
本作は「カウカウファイナンス」という金融会社を営む主人公「丑嶋(演:山田孝之)」と、さまざまな理由でお金を借りにくる登場人物たちとの人間模様を描いた物語で、裏社会や風俗などアンダーグラウンドの世界を描いています。
そのため実写シリーズでも強烈な描写があり、劇場版第1作目では序盤からトイレで女性が暴行されるなど「本当にPG指定で大丈夫なの?」と、心配になるような場面がいくつも描かれていました。
ただ、映倫の公式サイトでは、本作品について「刺激的な性愛描写及び性的行為・セリフ等がみられるが、親又は保護者の助言・指導があれば、12歳未満の年少者も観覧できます」とコメントしており、「問題はない」という判断だったようです。
本作は丑嶋をはじめとするキャラクターの再現度も魅力のひとつで、「ハマり役が多い」「闇金融の世界がよりリアルに感じる」と原作ファンから好評で、過激な内容に加えて、原作のクオリティを見事に担保したことで、人気実写化シリーズとなりました。
独特な雰囲気を醸しながらも人に優しく寄り添うちひろが印象的な映画『ちひろさん』ポスタービジュアル (C)2023 Asmik Ace, Inc. (C)安田弘之(秋田書店)2014
(広告の後にも続きます)
まさかのキャスティングに驚いた実写化作品
『ちひろさん』
弁当屋で働く元風俗嬢の「ちひろ」を中心に、彼女と出会ったことで変わっていく人びとの人間模様も描いたマンガ『ちひろさん』(著:安田弘之)が原作の同作は、2023年に「Netflix」にて配信され、劇場公開もされた映画です。
主人公のちひろ役は有村架純さんが務め、「イメージが違う」「若過ぎるのでは」といった意見もありましたが、「芯にある孤独の大きさを感じる演技を超えた演技」「原作ファンなので清純派の有村架純さんの主演に少し不安だったけど開始数分でちひろさんにしか見えなかった」と、彼女の演技が好評を集めました。
ベッドシーンもありましたが、そこまで過激な内容ではなく、孤独や生きづらさを感じて悩む登場人物にちひろが寄り添い、彼女を通した「前を向いて生きていく人間ドラマ」をじっくりと描いているのが特徴です。視聴者からは「観ているこっちまで心が落ち着く」「なにか大きな事件が起こるわけじゃないけど、元気になれる」といった声があがりました。