TVアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』の最終回放送から早1か月が経ち、ジワジワささやかれ出したのが、「アニメのラストはどうなるのか?」という結末への心配です。ある展開が描かれて、賛否両論だった原作マンガの最終話がどのような形でアニメ化されるのか妄想してみます。
劇場版『鬼滅の刃 無限城編』のティザービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
【画像】えっ? 彼と彼女が? こちらが『鬼滅の刃』最終話で判明した「意外なカップリング」です(4枚)
「無限城編」劇場3部作の後は「最終決戦編」?
※この記事では、まだアニメ化されていないシーンのネタバレの記述があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。
TVアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』の最終回放送から早1か月が経ったものの、ロスを嘆く声や再視聴報告、劇場版3部作の考察など、まだまだネット上では『鬼滅』熱は冷めてはいません。それとともにジワジワささやかれ出したのが、「アニメのラストはどうなるのか?」という結末への心配です。
「週刊少年ジャンプ」誌上での連載当時、最終話のひとつ前にあたる「第204話 鬼のいない世界」の最後の1コマでビルが建ち並ぶ「現代」が描かれ、「『現代編』が始まるのか!?」と多くの読者が驚きました。
しかし、最終話に描かれていたのは、「鬼のいない現代」で幸せに生きる「登場人物たちの子孫および輪廻転生した登場人物たち」の姿です。この最終話については、当時も賛否両論さまざまな意見が飛び交いました。アニメ化が終盤に入ろうとしている今のタイミングで、再度、最終話について考えてみます。
「無限城編が劇場版での3部作になる」ことが発表されましたが、「無限城編」がどこまでを指したものなのかは、これまでファンの間でもふたつの見方がありました。
ひとつは、「第140話 決戦の火蓋を切る」から最終話の「第205話 幾星霜を煌めく命」までを「無限城編」とする見方で、もうひとつは、「無限城編」は「鬼の始祖」である「鬼舞辻無惨」が無限城から地上に排出される「第183話 鬩ぎ合い」までとする見方です。後者の場合は、「第184話 戦線離脱」から最終話までを「最終決戦編」と呼びます。
TVアニメ「柱稽古編」の最終回で「無限城編が劇場版3部作になる」ことが発表され、この「無限城編」がどこまでの物語なのかが、あらためて話題にのぼるようになりました。そして、「柱稽古編」のラストから最終話までを2時間の映画3本で最終話まで描き切るのは、戦いの数やそれぞれの厚み、「上弦の鬼」たちや「継國縁壱」などの過去のエピソードの数などから見てもとうてい無理である、つまり、「無限城編3部作」は、無惨が無限城から地上に排出されるまでと考えるのが妥当、ということで落ち着いているようです。
その後の最終話までは、単行本で2巻と3分の1弱のボリュームがあります。無惨との戦いは、「竈門炭治郎」をはじめ柱たちや「嘴平伊之助」「我妻善逸」「栗花落カナヲ」たちの複数同時攻撃も多いので、原作マンガで1コマのシーンも、アニメとしては、視点や人物を変えながら描くため、ある程度のストロークが必要となります。
そのため「最終決戦編」は、映画で2部構成になるか、「柱稽古編」と同じように1クールのTV放送を行い、最終回とその前の回をスペシャル回として60~90分枠に延長するということも考えられそうです。
さて、「輪廻転生した登場人物たちが幸せに生きている現代」を描いた最終話「幾星霜を煌めく命」については、掲載当時から賛否両論がありました。「明るく素敵な未来につながって本当に良かった」「意味のある終わりだと思う」という称賛する声がある一方で、「蛇足だった」「正直嫌い」「作者が『ジョジョ』好きだからオマージュしたかったのか」など、否定的な声も少なくはありませんでした。
また、『鬼滅の刃』がその人気にもかかわらず、全23巻で完結したのは当時、異例ともいわれています。そのため、現代を描く最終回に「続編はやらんという固い意思表示を感じた」「むやみに延ばさず描き切った先生すごい」など、潔く完結したことへの賛辞も多く見られました。
なかでも、最終話に描かれた善逸と「竈門禰豆子」の子孫の「善照」の「俺は信じるよ 絶対みんな生まれ変わって幸せに生きてるんだ 平和のために鬼と戦って命を落とした人たちは」というセリフに、「意義ある最終回だった」と納得するファンも多かったようです。また、炭治郎とカナヲの子孫である「炭彦」の、「鬼も 今度生まれてくる時は鬼にならずにいられたらいいな」「いつかきっと神さまは鬼を許してくれるよね」というセリフがあり、鬼たちをフォローする要素もありました。
ただ、アニメでの人気がここまで拡大した今、原作マンガの最終回がこのまま放送されるかどうかは疑問です。アニメでの最終話はどのようなものになるのでしょう。
無惨が鬼殺隊に襲いかかる TVアニメ『鬼滅の刃』「立志編」キービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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鍵になるのは鎹鴉? 「描き下ろし8ページ」?
では、アニメでは最終話はどう描かれるのかを勝手に妄想してみます。
まず、最終話での「現代」は「あり」か「なし」については、「あり」と考えます。なぜなら、鬼殺隊の目的であった「鬼のいない平和な世の中にする」ことが完了し、継続していることを見せる必要があるからです。
これは、『鬼滅の刃』における重要なキーワード「つなげる」にもかかわってきます。炭治郎や柱たち、鬼殺隊の人びとの命や思いが、後世に「つながった」ことを見せるのは作品として必須であり、意義があることです。
ただ、『鬼滅の刃』の現在の市場やファンの規模や思いの深さは、連載終了当時とは比べものにならないほど拡大しているといえるでしょう。そして最終話は、劇場版「無限城編」の3部作に料金を払って観に行った人たちが、その後に期待いっぱいで観るのですから、そんなファンを満足させるのに、登場人物たちが輪廻転生した現代のチラ見せではとうてい、足りないと思えるのです。
もちろん最終回に向けて、ファンブックの『鬼殺隊見聞録・弐』に掲載された「炭治郎の近況報告書」のアニメ化や、「水柱」の「冨岡義勇」と「風柱」の「不死川実弥」の「その後」、「青い彼岸花の謎」や「竈門家を無惨が襲った理由」「禰豆子が日光を克服した理由」「産屋敷家の呪いのその後」などの謎の回収、「愈史郎のその後」「現代に受け継がれるヒノカミ神楽」などのアニメオリジナルストーリーの追加は、十分に考えられるところです。
しかし、それらを盛り込んだとしても、まだまだ『鬼滅の刃』という壮大なストーリーを締めくくるには足りません。
『鬼滅の刃』の最後を飾るにふさわしいのは、現代の最終話に批判的だった人たちも納得し、アンチ勢も涙したと話題になった、「単行本の23巻に収録された8ページの描き下ろし」しかないように思えます。
そして、『鬼滅の刃』には、登場人物たちに語りかけるような詩的なメッセージを読み上げる大役を担うにふさわしい、鎹鴉を演じた大物声優たちがいます。ただの妄想ですが、このような演出もありえるのではないでしょうか。
静かな田舎にある産屋敷宅をねぐらにするのは、輪廻転生した鎹鴉たちの子孫です。朝が来て、日本最高齢となっても元気な「産屋敷輝利哉」や彼の子や孫、ひ孫たちからエサをもらうと、カラスたちは、現代の「鬼のいない世界」の空へと飛び立ちます。彼らは自由に空を飛び回り、たまに「柱や鬼殺隊の隊士たちの子孫および輪廻転生した彼らが幸せに暮らしている様子」の様子を見守るのを楽しみにしているのです。
学校に通ったり、好きな職業についていたり、結婚したりと幸せそうにしている彼らと、ご先祖である鬼殺隊時代の姿が交錯します。そこに単行本の23巻に収録された8ページ分のメッセージが、鎹鴉たちを演じた大物声優たちによって挿入されていくというのはどうでしょう。
壮大なオーケストラバージョンで主題歌のメドレーを聞きたい、「大正コソコソ話」のエピソードもたっぷり入れて欲しい、前身であるマンガ『鬼殺の流』を線画のままアニメで見たい、もはや「終わって欲しくない」……など、『鬼滅の刃』に関するファンの思いはさまざまありそうです。最終章に向けて、『鬼滅の刃』がどのような展開を見せるのか妄想しながら、最後まで楽しみましょう。