その昔の日本で、「口減らし」を決行するよう夫に命じられた母は、息子のパキチを川へ連れて行きました。母は「河童になって、家族を守ってくれるかい?」と、パキチの頭に大きな石をぶつけ……。古山フウさんの創作マンガがX(旧:Twitter)で公開され、切ない物語に9万いいねの反響が集まっています。
母から河童になるように言われたパキチは…(古山フウさん提供)
【マンガ本編】「家族のため、河童になれ」口減らしで少年は母と川へ… その後、川から出て家族と再会し?
河童になった少年の優しさに「切ない」「泣いた」
「このままでは、皆、野垂れ死ぬ」
その昔の日本で、「口減らし」を決行するよう夫に命じられた母は、息子のパキチを川へ連れて行きました。何も知らずに川でカジカを探すパキチに、母は「河童になって、家族を守ってくれるかい?」と尋ね、パキチの頭に大きな石をぶつけたのでした。それからどれだけ日が経ったのか、川に浮かんで流されるパキチをおじいさんが見つけ……。
古山フウさん(@fuu_furu)による創作マンガ『河童のパキチ』がX(旧:Twitter)で公開されました。この作品は、もともとリトルプレス『ランバーロール 04』(tababooks)にて掲載された作品です。読者からは「切ない」「泣いた」「頭のいい、優しい良い子だったんだろうなぁ」「お盆の迎え火で帰ってきたのかな」「つらいけど温かいお話」などの声があがり、投稿には9万いいねの反響が集まっています。
作者の古山フウさんに、お話を聞きました。
ーー『河童のパキチ』は悲しいお話でありながらも、パキチの優しさに心が温まりました。お話を描くうえでこだわったポイントや心がけたことなどを教えて下さい。
『河童のパキチ』は悲しいお話なのですが、悲しいお話を悲しいだけで描くことに抵抗があり、おっしゃっていただいたように悲しいなかにもじんわりと温かさがあるようなマンガにしたくて試行錯誤を重ねたので、それが伝わっていたならとてもうれしく思います。
ーー「パキチがいつ河童になったのか」について読者の解釈が分かれています。どのようなお考えで描かれたのでしょうか?
自由に解釈していただいて大丈夫なのですが、作者としては、パキチが河童になったのは、川に流されていたのを助けてくれたじいちゃんが「お前は立派な河童だよ」と認めてくれた瞬間になります。その後、家族の元へ行き「俺は河童になった、これからは家族のことを守る」と覚悟を決めたことで、だんだんと時間をかけてその姿も河童になっていったという設定です。
『ひとひとがみ日々』の単行本1巻が発売中(小学館)
ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。
特に印象に残っているのは「パキチはうちに来い」と言って下さっている方々のコメントで、その温かさにジーンとしました。ひとつひとつお返事はできなかったのですが、ほかにも本当にたくさんの感想をいただいて、どれもとてもうれしく励みになりました。
『河童のパキチ』は読み切りですが、実はこれを元に連載マンガを作ろうとして自分のなかでうまくいかずに止まってしまっていた企画があるんです。でも、読み切りにたくさんの反応をいただけたことで、もう一度頑張って取り組んでみようという気持ちになりました。
ーー「サンデーうぇぶり」で連載中の『ひとひとがみ日々』の単行本1巻が発売中です。お話のあらすじや見どころなどをご紹介いただけますか?
『ひとひとがみ日々』は、現代のある廃村で、人の姿になってしまった神様たちが、物の怪から食材を買ったりさまざまな困難を乗り越えたりしながら日々を暮らしていくお話です。
『河童のパキチ』と同じように食べること、生きることを大切にして描いているお話なので、ご飯のシーンや登場人物の感情が揺れるシーンをぜひ見ていただけたらと思って描いています。『河童のパキチ』と絵柄が違いますが、根底にある思いを同じにしているお話なので、ぜひこちらも読んでいただけたらうれしいです!
『河童のパキチ』:初出『ランバーロール04』(tababooks)