みなさま、イタチウオってご存じでしょうか? そう、ナマズや特大ゴンズイみたいな可愛い顔したアイツです。

以前YouTubeで野食ハンターの茸本朗氏が「未利用魚とは思えない旨さ!!!!」と大絶賛しているのを観て、一度は食べてみたいなぁ!! と思っていました。

そんなある日、行きつけの魚屋「海鮮市場マルモト」(神奈川県伊勢原市伊勢原1-3-37)の水槽をぼーっと眺めていたところ

イタチウオいたーーーーーーーーーー!!!!!!!! ウナギイヌそっくりでカワイイーーーーー!!!!!!!!

マルモトの田中店長に聞くと、私のために取り置いてくれていたとのこと。田中店長いつもありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。

野食ハンターの茸本朗氏は昆布締めの肝和えと天ぷらを、魚介類界のゴッドファーザー・ぼうずコンニャク氏はフライを絶賛していたイタチウオ。どんな味なのか楽しみです(゚∀゚)

イタチウオの捌き方

まずはウロコ落としです。イタチウオはヌメヌメしているうえに、細かいウロコがびっしり生えているので、通常のウロコ取り機では手も足もでません。

包丁ですき引きしても上手くいかないので、金属たわしなどでゴシゴシこすってウロコをとります。

ちなみにこのエラ蓋のところに鋭いトゲが隠れています。イタチウオが暴れている時にこの部分を触ると手がスパーーーーンと切れてしまいますので注意が必要です。

そして特筆すべきは肋骨です。内臓を包むように膨らんでいて、そして骨は非常に硬く断ち切るのも難しいです。

なので肋骨まわりは骨をなぞるように切り、3枚におろしていきます。

田中店長が捌いてくれてよかった……私ではとてもこんな骨格で骨が硬すぎる魚は捌けないです: (´◦ω◦`):

そしてめちゃくちゃ立派な肝してます!!!! 美味しそうԅ(¯﹃¯ԅ)

身は非常に柔らかくて身割れするし、筋繊維がボロボロ落ちるので皮を引くのも結構大変です。身の匂いはタラ。

でもタラの匂いって実は腐敗臭なので、タラっぽい匂いがするってことはこの子も足がはやいんかな……?

皮はウツボみたいですね。

現時点では全く美味しそうに思えないのですが、はたしてどんなお味がするのでしょうか!?

実食

本日のお品書き

・天ぷら

・昆布締め

・三杯酢漬け

・ムニエル

です!

イタチウオの天ぷら

皮を揚げるとそこそこはねます。エビを揚げるときと同じぐらいはねます。

茸本朗氏が大絶賛していた天ぷら! 楽しみだー!!

(。・н・。)パクッ ……えっ、美味しくない……

とりあえず味がないです。

そして何よりもイタチウオの最大の特徴といえる独特の食感が非常に好き嫌いが分かれる感じです。

タラのような身離れなのですが、タラよりも遥かに柔らかくてボロボロ崩れます。

そして弾力も噛み応えも全くないです。離乳食ぐらいないです。

それなのにやたら筋繊維が1本1本分かるぐらいハッキリくっきりしているので、やる気も根性もないカニやそうめんの束を食べている気持ちになります。

この独特な食感はかなり好みが分かれそう。

ただ、周りの人間に試食してもらったところ「柔らかい!!!! 美味しい!!!! タラよりも美味しい!!!!!!」とやっぱり大絶賛していたので、私のように苦手派は少数なのかも(´ω`)?

なお、塩をふってキッチンペーパーに3時間ほど包んで水分を抜いてから揚げた天ぷらは、ボロボロではなくフワフワ練り物っぽい食感になって味が良くなりました。

でも繊維質な食感は変わらないので、やっぱり私には美味しく感じられませんでした……。

皮の天ぷらは美味しいです!パリパリどころかザクザクの食感で香ばしく、お煎餅を食べている感じです!

イタチウオの筋繊維

「この食感はなんなの?」と思い、切り身をじっくり見てみると

カニみたい。

1本1本の繊維が強くハッキリしており、さらに生だとこの繊維自体がムチムチして弾力があります(加熱すると弾力は失われます)。

筋は牛ホルモンのようにモチモチコリコリしていて噛み切れません……。

味は甘味もあるし、噛むと多少旨みは出てくるものの、非常にあっさりしています。

刺身だと魚というよりも、味のしない繊維質なホルモンを食べてる感じがします。

イタチウオの昆布締め

こちらも茸本朗氏が「近縁種のヒゲダラ(ヨロイイタチウオ)と同じく旨い! 昆布の化身!!」と大絶賛していた料理ですね。

茸本氏曰く

昆布の旨みと本来この魚が持ってた旨味が、がっぷり四つに嚙み合ったまままっすぐ上にゾーンて来てる、めちゃめちゃアウフヘーベンしてる感じ

とのことなので期待が高まります!

(。・н・。)パクッ うーん……?

ファーストバイトの食感はムチムチもっちりだけどサクッとした歯ごたえがあって、噛むごとにネットリとした食感に変わります。

味は締める前よりも甘味がなくなったような気がします。イタチウオ自体の旨みも多少出てくるものの弱いので、最低でも一晩は昆布締めにして、昆布の旨みをしっかり染み込ませたほうが良さそうです。

味自体は悪くないけど、乾燥した部分の繊維が細かいゼリーのように後からざらざらと押し寄せてきて……この食感はやっぱり苦手です(>人<;)

肝和えにしてみる

細かく叩いた肝と刺身を和える「肝和え」も茸本氏が大絶賛していたので挑戦してみました。

うん! 肝和えは美味しい!!

もっちりムチムチした歯ごたえの刺身に、バターやウニのような濃厚なコクと海鮮をギュっと凝縮したような旨みがのって非常に美味しいです!!

肝は脂たっぷりで融点が低く、すぐに舌のうえでさらっと溶けるためか、イタチウオ独特の食感もあまり気にならなくなるような?

イタチウオの三杯酢漬け

これにはかなり驚きました!!!!!!

サックリとした繊維質の歯ごたえがありつつ、中は牛肉を噛むときのようなモッチリとした弾力がああります。

まるで半生ビーフジャーキーや柔らかい厚切り牛ステーキを食べているような食感です!!

牛肉よりももっちりサックリしており、これは食感が非常に楽しい!!!!

これは酢の効果なのかな? それともお醤油や隠し味に入れた味噌の効果なのかしら?

ただ味は完全に三杯酢そのものです。

酢がかなりきつく感じられるので、酢の量を控えて代わりに出汁など旨みを加えてあげると、味もより美味しくなりそう。

味自体は特に「美味しい!」というわけではないけど、食感がかなりクセになるので、1枚食べるともう1枚もう1枚と止まらなくなります。

今も「イタチウオの三杯酢漬け噛みたいなぁ」と思い出しながらこの記事を書いています。

イタチウオのムニエル

塩をふって小麦粉をまぶしてバターで焼き上げました。冷凍庫の中で萎びていたディルを添えていただきます。

クセがなく淡白で上品な味なので、バターの風味とよく合います。

しかし、しつこく繰り返しになりますが、やっぱりこの繊維質とボロボロ崩れる舌ざわりが……

イタチウオをポン酢で食べると

イタチウオの食感はやる気のないカニみたいな感じなので、「ポン酢で食べたらカニになるんじゃね?」と思い、急遽ムニエルをポン酢で食べてみました。

うん!!!!!! タラのような淡白な魚の味は若干するけど、うっっっすいのでカニを食べてる気分になります!!!!!! これは美味しい(・∀・)

ポン酢をつけるととたんにタラ超えの美味しさになるので、これは新しい鍋の王者を見つけてしまったかもしれない……!!

イタチウオの食感がどうしても苦手という人は、塩をふってキッチンペーパーに包むか昆布締めなどでよく水分を抜いてから加熱して、ポン酢で食べると良いかもしれません。

イタチウオの評価

星3 ☆☆☆

まずとても捌きにくいというのが難点です。苦労して捌いてもそれに報いる味かと言われると……正直微妙なところ、食感的に。

しかし食感が気にならないorハマる人にはとても美味しい魚だと思いますし、まだまだ美味しくなる可能性を秘めていると思います!

一般流通はしないものの、釣りでは釣れる魚なので、釣りあげたらぜひ食べてみてください(・∀・)

※画像は全て筆者撮影

海鮮市場マルモト

https://www.0-to.com/[リンク]

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑

https://x.gd/uOQkB[リンク]

(執筆者: ゆずくん)