パリ五輪の女子ボクシングは現地8月8日、女子57キロ級の準決勝が行なわれ、性別を巡る論争の渦中の人となっている台湾のリン・ユーティンが判定勝ちを収め、決勝進出を決めた。一方で、対戦相手のエスラ・ユルディズ・カフラマン(トルコ)が試合後のリング上において、両手で「X」サインを掲げ、物議を醸している。
【画像】意図を問われ「ノーコメント」。リング上で「X」サインを掲げるカフラマン 試合はリン・ユーティンがジャッジで全ラウンドを取り完勝。試合を終え、両者は友好的な握手を行ない、退場の際にはカフラマンは相手のためにロープを広げたが、その後リングの中央に戻り、観客に向かって「X」のサインを作ったのだ。
このシーンに関しては、リン・ユーティンの前回の対戦相手であるブルガリアのスベトラーナ・スタネバも彼女に判定で敗れた後に怒りを露わにしながら、両手で「X」のサインを作った。そのうえ、コーチが「私はXXです。スポーツを救って」などと書かれたプラカードを示し、リンの試合出場への抗議の意思も示していた。リン・ユーティンと女子66キロ級のイマネ・ケリフ(アルジェリア)のふたりについては、昨年の世界選手権でDNA検査を用いた性別適格性検査で、「(男性が有するとされる)XY染色体を持っている」と結論づけられて失格となっていた。
海外メディア『Irish Independent』は、「このジェスチャーはリンの前回の対戦相手がポイント負けした後に取ったものと同じだが、この合図の説明を求められたカフラマンのスタッフの一人は『ノーコメント』と答えた」と報じている。カフラマンにスタネバのようにリン・ユーティンを非難する意図があったのかどうかは明らかにされていない。
一方、決勝進出を決めたリン・ユーティンは現地10日の決勝でポーランドの20歳、ジュリア・シェレメタと対戦。決勝に向けて彼女は「東京五輪で1回戦敗退を喫した後、この決勝までたどり着くのは厳しい道のりだった。人生で学んだ全てを生かして、次の試合でベストを尽くす」と必勝を誓っている。
構成●THE DIGEST編集部
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