映倫のR指定に分類される映画は、その過激な内容と刺激的な描写で多くの観客に衝撃を与えてきました。また、マンガや小説の実写化の企画で、映画化に対して懐疑的な声があった作品でも、公開評価が変わることもあったのです。
映画『シグナル100』ポスタービジュアル (C)2020「シグナル100」製作委員会
【画像】え…っ? 「国民的アイドルが殺人鬼?」 こちらが衝撃しかない「R指定」実写版です(8枚)
観てるだけで緊張してくる
グロテスクな描写や過激な表現を含むマンガや小説の実写化は、ファンにとって「再現できるのか」という心配がつきものです。しかし、そんな心配は杞憂に終わり、俳優の体当たりの演技もあって、「想像以上」と評価された「R指定」の作品もあります。
『シマウマ』R15+
小幡文生さんの同題マンガを原作とした実写映画『シマウマ』は、2016年に竜星涼さん主演で公開されました。この作品は、美人局で荒稼ぎしていた主人公「倉神竜夫(演:竜星涼)」が、ヤクザを引っかけてしまったことをきっかけに、他者から受けた屈辱に対し、どんな手段も厭わずに代理で復讐を遂行する「回収屋」の世界に足を踏み入れていく物語です。
映画では、冒頭から背中に何本もの割り箸を刺され血だらけになった男性の姿が映り、刺されるたびにうめき声をあげるシーンが描かれます。ほかにも女性を何度も殴りつけたり、お風呂に顔を沈めたり、フォークで手の甲を刺したりなど、過激な暴力シーンも描かれました。
たびたび登場するグロテスクなシーンに思わず顔を背けたくなる人も多く、「耐性ないとキツイくらい暴力シーンが痛々しい」「グロすぎて吐きそうになる」「R18でもいいくらい」と衝撃を受けた声も多いですが、過激シーンから逃げなかったがゆえに生まれた生々しいリアルな人間模様も評判で、「登場人物の威勢が良かったりヒヨったりする姿に人間味があって面白い」と高い評価も受けています。
『シグナル100』R15+
『シグナル100』は宮月新さん(原作)と近藤しぐれさん(作画)による同名マンガが原作で、2020年に橋本環奈さん主演で実写映画化されました。同作は、クラスメイトたちによる疑心暗鬼のなかでデスゲームを行う心理的サスペンス、ある行動によって自らを殺めてしまうという、ホラー要素が融合したストーリーが特徴です。
作中では担任教師「下部(演:中村獅童)」によって、特定の行動を取ると自殺してしまうという「自殺催眠」を高校生36人がかけられ、生き残りをかけたデスゲームに挑んでいきます。「自殺催眠」がかかった人は、遅刻する、写真を撮る、大笑いするといった日常的な行動が引き金となって自殺してしまい、催眠を解くには他のクラスメイトが死んで自分だけが生き残る方法しかありません。
デスゲームのなかで生徒たちは、舌を自分で引きちぎったり、刃物を目に刺したりといったグロテスクな死を遂げていきます。この閉鎖的な環境下で次々と明らかになる暗示のトリガーとそれに対する恐怖やパニックに、「実写にすると、より死ぬ場面が生々しく感じて怖かった」「死に瀕した心理がうまく表現されていて極限状態の人の汚さが分かる作品」などと恐怖の声のほか、心情表現の巧みさも評価されていました。
『バトル・ロワイアル』R15+
『バトル・ロワイアル』は、高見広春さんの同名小説を原作とした、深作欣二監督による青春バイオレンスアクション映画です。2000年に公開された実写映画では、主人公「七原秋也」を藤原竜也さんが演じています。
ほかにも、不良少女グループのリーダー「相馬光子」に柴咲コウさん、キーパーソンとなる教師「キタノ」にはビートたけしさんが起用されたほか、栗山千明さん、安藤政信さん、塚本高史さんら、数々の人気俳優たちが出演していました。
舞台は、政府が施行した「新世紀教育改革法」によって、毎年ランダムに選ばれた中学生のクラスが無人島での殺し合いを強制される近未来の日本です。映画では自分が生き残るために、クラスメイトが苦しんでいるところに追い打ちで弾丸を撃ち込んだり、鎌で首を掻っ切ったりなど過激な殺害シーンが多数あります。また友情や裏切り、そして絶望と希望の狭間で揺れる若者たちの姿をリアルに描き出し、終始緊張感がある作品です。
SNS上では「たけしさんの怪演で緊張感が高まってスクリーンから目が離せなかった」「死ぬと思ったところで死なない意外な展開が見ていて飽きない」と、息を飲むような緊張感や先の読めない展開を評価され、邦画のバイオレンス映画名作として長年支持されています。
ちなみに、2000年から2005年まで連載された田口雅之さんによるマンガ版『バトル・ロワイアル』は、原作小説、映画と比べてもグロテスクな描写が強調されており、トラウマになったという人も少なくありません。
七原の親友「国信慶時」が見せしめに射殺される序盤から、相馬光子が顔面をマシンガンでぐちゃぐちゃにされる最期や、死んだふりをしていたら「桐山和雄」に股間を撃ち抜かれてしまった「織田敏憲」の悲惨すぎる死にざま、毒入りシチューを食べて死亡した「中川有香」の変わり果てた姿など、さまざまな残酷描写が描かれており、「映画は観れたけどマンガは無理」などともいわれる衝撃作となりました。