8月7日、湘南ベルマーレはJ1第25節でアビスパ福岡とホームで対戦し、1-1で引き分けた。
福岡戦で記念すべきJ1初先発を飾った選手がいた。3-5-2の左ウイングバックで出場した吉田新だ。
吉田は昨季、立正大学から湘南に加入するも、J1での出番はなく、カップ戦4試合の出場にとどまった。今季の序盤戦もメンバー外が続いたが、天皇杯3回戦の東京ヴェルディ戦(1-0)でスタメンの座を勝ち取ると、その後のリーグ戦2試合(23節・ジュビロ磐田戦/5-0、24節・ガンバ大阪戦/1-0)で途中出場。続く福岡戦で、ついに先発の機会が巡ってきた。
左足のクロスに自信を持つ24歳は、自身初のリーグ戦スタメンをこう振り返る。
「数多くのクロスをイメージ通りに蹴ることができたと思います。チームとしてニアのスペースを意識しているので、そこを狙っていこうとしていました。もうひと山超えれば、というボールもあったので、練習しなきゃなと思いつつも、自信もつきました」
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吉田は福岡戦で、持ち前の左足クロスからいくつかの好機を演出。セットプレーのキッカーも務めるなど、攻撃面で一定の存在感を示したと言える。
一方、自陣でのボール保持や守備の局面では課題が散見。3バックからのビルドアップをサポートするために低い位置を取らざるを得ず、かつ、自陣から個で打開できるようなスピードやテクニックを特長とするタイプでもないため、追い込まれてボールロストしたり、長い球を蹴らされる場面があった。
福岡戦で見えた課題について、本人も改善したいと語る。
「守備でミスをした場面もありましたが、周囲に助けられました。飲水タイムに(池田)昌生くんから『ミスは気にするな』と言ってくれて、切り替えられた部分もあります。そのおかげもあって、前半で良くなかった部分は後半にある程度修正できたのかなと。
ビルドアップでは、もう少し早いタイミングでボールを受けられれば、あんなに相手に寄せられることもなかったはず。自分の立ち位置や要求の仕方で改善すべき点もあると思います」
吉田にとって福岡戦はプレー面で収穫と課題を得たゲームだったが、精神力のタフさを誇示した一戦でもあった。24分の接触プレーで倒れた際、相手のスパイクが顔に当たり口の上を負傷。ハーフタイムにホッチキスなどを使いながら治療を施し、82分までプレーした。
「ああいった治療は初めてだったので、めちゃくちゃ痛かったけど、初スタメンでこの怪我は良い思い出です(笑)」
4針を縫うほどの怪我の痛みに耐えながら相手アタッカーと熱くファイトした吉田の屈強なメンタルは賞賛に値する。小野瀬康介らとのポジション争いを制すためにも、28番が福岡戦で見せたガッツは重要なポイントになるはずだ。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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