パリ五輪での小久保の活躍はある意味“日本の弱さ”を象徴。そもそもGKは目立たないほうがいい【コラム】

 パリ五輪に臨んだ大岩ジャパンはベスト8で敗退。残念ながらメダルには手が届かなかった。スペインとの準々決勝は0-3と、決定力の差を見せつけられた。この決定力の差は簡単そうで、なかなか埋まらない。その点で、スペインとの力量差はまだまだ大きいとも言えるだろう。

 パリ五輪での大岩ジャパンはグループステージ(対戦国はパラグアイ、マリ、イスラエル)で3戦全勝。この快進撃を語るうえで、GK小久保玲央ブライアンの奮闘を忘れてはいけない。彼の好セーブがなければ、グループステージ3試合を無失点で乗り切ることはできなかった。

 ただ、「GKが目立つ=ピンチが多い」という側面がある。つまり、大岩ジャパンは磐石な試合運びでグループステージを突破したわけではない。決められてもおかしくないピンチがあったが、相手のクオリティ不足にも助けられてゴールを奪われなかったとの見方ができる。

 そもそもGKは目立たないほうがいい。言い換えるなら、試合に勝つためにはシュートを打たせるべきではない。これは、サッカーファンなら誰でも分かることだろう。
 
 その視点から大岩ジャパンの戦いを振り返ると、それなりにピンチはあったとの事実が浮かび上がる。その危機を回避できたのは、敵のシュートのコースが甘かったのと、GK小久保のセーブがあったからである。

 しかし、相手のシュート技術が高いとあっさり破られてしまう。それがスペイン戦だった。いずれもアンラッキーな失点ではなく、0-3は正当なスコア。日本の守備の弱さを露呈した試合だったと捉えることもできる。

 GK小久保の奮闘は間違いなく素晴らしかったが、守備陣がそれなりに崩されていた点は見逃せない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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