中断前最後の24節・水戸戦は2-2で引き分けた横浜FC。連勝は8で止まったが、2点を先行される展開で粘り強く追いつき、勝点1をもぎ取った。
価値あるドロー。井上潮音は「0-2までは反省するべきところですけど、そこから追いつけたのは、今年のチームの持っている力だと思う」と手応えを示し、「また中断明けから切り替えて、勝点3を積み重ねていきたい」と意気込んでいた。
その言葉通り、2週間のブレイクが明けて迎えた25節・千葉戦は2-1の勝利。1点ビハインドの終盤に2ゴールを奪い、鮮やかな逆転勝ち。トップ3を争うライバル2チームが敗れたこともあり、首位に返り咲いた。
チームはこれで11戦負けなし(9勝2分)。井上はシーズン序盤の負傷から復帰してから、途中出場だった18節・愛媛戦以外はすべて先発。攻撃を組み立て、献身的な守備でも貢献する不動のゲームメイカーは、「試合ごとに良くなっていると感じますし、去年の良い時のパフォーマンスにやっと近づいてきたなという感覚です」と語る。
中盤の底で構え、テンポ良くボールを出し入れして味方の良さを引き出す。シンプルかつ効率的なプレーでチームを下支えする。
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誤解を恐れずに言えば、堅実さは光るが、黒子に徹している印象だ。もちろん、それが悪いわけではないが、2列目や3列目から鋭く飛び出し、敵陣のニアゾーンを抉り、決定的な仕事に絡むプレーも魅力の1つ。その回数をもっと増やしてもいいのではないかと思うが、本人はどう考えているのか。
「(ボランチでコンビを組む)ユーリとの関係が一番大事で、ユーリがけっこう上がっていくことが多いので、そこはバランスを見て。自分が上がりたい時もありますけど、ユーリが上がったらヘディングもあるし、実際に点も取っている。チームのことを第一にという感じですね、今は」
シーズンも終盤戦に突入し、相手は上位の横浜FCに対して、守りを固めてくるかもしれない。分厚い守備網をどう崩すか。井上は「自分たちは前に5枚いますけど、そこにボランチなのか、フクさん(福森晃斗)のポジションが入っていくのか、その6人目の選手が関わっていくことが大事になる」とイメージする。
だからこそ、井上のアタックに期待したい。背番号7は「そこはタイミングを見計らって。出ていくことは意識しつつ、バランスを見ながら」と強調する。
パンチ力あるミドルシュートにも定評がある。攻撃センスにあふれる井上だが、今季はまだノーゴール。次節は10日に3位の長崎とホームで相まみえる。勝点2差で迫る相手とのビッグマッチで待望の一発が飛び出すか。チームの連勝とともに期待したい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)
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