マンガが実写化されると、たびたび話題になるのが「キャラクターの美形化」です。俳優の演技力によってハマり役になることもありますが、発表時はどうしても物議を醸してしまうこともあります。今回は、実写化でイケメン化した主人公キャラを振り返ります。
小栗旬さんが演じ南波六太のイケメン化が話題になった映画『宇宙兄弟』キービジュアル (C)小山宙哉/「宇宙兄弟」製作委員会
【画像】え…っ? 「イケメン化しすぎ」「動くと似てる」 これが話題を呼んだ実写化キャラ達です(13枚)
冴えないキャラなのにイケメンになりすぎ?
アニメやマンガ作品が実写化された際は、特にキャラクターの再現度が注目されます。定期的に起きる現象ですが、元のキャラよりもイケメンになると、公開前から「キャラとかけ離れてる」と物議を醸すことも少なくありません。今回は、原作キャラと実写化のキャスティングにギャップがあった、主人公がイケメン化した実写版を振り返ります。
『宇宙兄弟』南波六太 演:小栗旬
『宇宙兄弟』は「モーニング」(講談社)で連載されている小山宙哉先生の作品で、2012年に小栗旬さん主演で実写化されました。会社をクビになり、30歳を超えてから昔からの「宇宙飛行士になりたい」という夢に挑戦する兄の「南波六太(通称:ムッタ)」と、一足先に夢を実現して月面に降り立つ弟の「南波日々人(通称:ヒビト)」が、再び宇宙という共通の目標に向かって動き始める物語です。
「もじゃもじゃ頭」がトレードマークのムッタについて、小山先生も『宇宙兄弟』公式サイト内で「ちょっと抜けてる、カッコ良くなりきれないイメージ」と語っていました。その印象からかファンも「実写化するなら大泉洋さん」とイメージしていた人が多かったようで、発表時は「小栗さんではイケメン過ぎる」という意見も多々ありました。
『宇宙兄弟』の公式X(当時:Twitter)にはこのキャスティングについて、監督の森義隆さんと話し合った旨が述べられており、「世間は俳優にイメージを持っている。しかし、そのイメージは、別の演出家が別の作品で俳優につけたものだ。それに頼って映画を作っても、その映画は新しいものにならない。自分の演出によって、俳優に新しいイメージをつけなければいけない」とあります。
公開後には小栗さん演じるムッタに「思ったよりもムッタだった」「年齢的には大泉さんよりこっちか」「ヒビトとムッタはとっても良かった。キャスティングが良いし、小栗さんのブランド力すごい」「小栗さんと岡田さんの兄弟感が良い。ふたりともこういう爽やかな役は、意外とやってない気がするので、新鮮さすらある」と賛辞の声も出ていました。
『ブラックナイトパレード』日野三春 演:吉沢亮
「ウルトラジャンプ」(集英社)で連載されている中村光先生の『ブラックナイトパレード』は、2022年に福田雄一監督によって実写化されました。受験や就活に失敗したコンビニ店員の主人公「日野三春」がクリスマスの夜、黒いサンタ服の男に連れ去られ、北極の「サンタクロースハウス」という会社で「ブラックサンタ」として働く物語です。
実写化では、割と普通のどこにでもいるような設定の男子である日野に、普段はクールなイメージが強く、雑誌『ViVi』の「国宝級イケメンランキング」で1位に選ばれたこともある吉沢さんが配役されます。SNS上では「主人公がイケメン過ぎる」との声が続出し、また、日野がクリスマスにコンビニでバイトするシーンに合わせて、「こんなイケメンはクリスマスにコンビニにいない」といった指摘も見られました。
しかし、白目をむいて倒れこんだり、頭突きをされて胸ぐらをつかまれたりと、身体を張って「情けない男」を演じる姿に、「元の三春もシンプルな絵柄ゆえに吉沢亮に見えてきた」「吉沢さんがずっとおもしろかった! シュールさもあるし、顔面偏差値が高いから余計ギャップでダサく見えたかも」と称賛の声も出ていました。
『銀魂』の「沖田総悟」や『斉木楠雄のΨ難』の「海藤瞬」など、福田監督の実写化作品でさまざまなキャラを演じてきた吉沢さんは、のちにメディアの取材に対し、白目のシーンも細かい指示を受けず演じた旨を語っています。
『彼女、お借りします』木ノ下和也 演:大西流星
『彼女、お借りします』は「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の宮島礼吏先生の作品で、なにわ男子の大西流星さん主演で2022年に実写ドラマ化されました。ダメダメな大学生の「木ノ下和也」が恋人に振られたことをきっかけにレンタル彼女を発注して、理想の彼女である「水原千鶴」と出会い、かりそめの恋のはずが予期せぬ展開へ発展していくラブストーリーです。
「モテなくて冴えない大学生」である 木ノ下に現役アイドルの大西さんが配役されたことについて、ドラマの公式サイトでも「意外な配役」と紹介され、「あえて」のキャスティングであったことがうかがえます。
これに関しては、「さすがにダメ男っぽさがない」「イケメンに彼女いないといわれても納得できない」「作品は面白かったけど、主人公がイケメン過ぎた」との声が聞かれました。なにわ男子のなかでも、「しっかり者」のイメージが定着している大西さんに対して、演技よりもビジュアルのイメージが強く出てしまったようです。
その一方で、「声が高くて裏返ったような声が、主人公の弱々しさとは合ってた」「大西流星さんが振り切って全力でやってて、観てて気持ち良かった。続編大期待」「大西流星くんの演技力すごくない? 普段のキラキラアイドルと全然違う」と、その演技力を評価する声もあがっていました。
そのほか、これから公開予定の作品では、2024年5月31日公開の映画『からかい上手の高木さん』も「主人公イケメン化」が話題を呼んでいます。主人公の「西片」は、隣の席の「高木さん」にからかわれている中学生男子です。その西方が大人になって母校で教師をしている姿を高橋文哉さんが演じると発表され、「西片がイケメン過ぎる」とキャスティングを懸念する声が聞かれました。
現在、TBSで放送中の同題実写ドラマでは、映画『怪物』での演技も高い評価を受けた黒川想矢さんが中学時代の西方を演じており、「こんな中学生いるわ」「高木さん(月島瑠衣)も西片くんもかわいくてずっと見ていられる」「ちょっと早口になったり、声が裏返ったり吃ったり、目線が下になったりの表現が良い」「3次元に高木さんと西片が降臨したかのよう」と、自然な演技が好評を得ています。
不安の声の一方で、高橋文哉さんと黒川さんに関して「驚いた顔が似てる」「黒川想矢くんが大きくなったら高橋文哉くんになるのめちゃめちゃ解釈の一致」といった意見も出ていますが、果たして大人になった体育教師の西方を高橋さんどう演じるのか、要注目です。