実写化作品のクオリティは、出演俳優の演技によって左右されることが多いゆえに、重要な役割を担っています。特に、原作で個性的なキャラであればあるほど演じるハードルは高くなっていくでしょう。今回は、人気女優の高い再現度で話題になった実写化作品を振り返ります。



『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』 ポスタービジュアル (C)2009 フジテレビ・講談社・アミューズ・東宝・FNS27社

【画像】え…っ? 「まんまじゃん」「最初似てないと思ったのに」 これが「再現度高すぎ」な実写化ヒロインたちです(10枚)

衝撃の「ゲロイン」

 マンガの実写化作品は、キャスティング、場面の再現度など注目すべきポイントが数多くあります。特に、俳優が登場人物のイメージに合っているか、再現度高く演じられるのかは、原作ファンも気になるところです。今回は、個性的なキャラが見事に再現された実写版のヒロインを振り返ります。

『銀魂』神楽(橋本環奈)

 物語が完結してもファンの多い人気マンガ『銀魂』は、2017年、2018年に実写映画化されています。本作は、主人公の坂田銀時(通称:銀さん)を含むユニークなキャラが、幕末の江戸でさまざまな騒動を繰り広げるギャグ要素多めな作品です。

 実写版では、銀さん役を小栗旬さん、志村新八役を菅田将暉さんと、豪華な実力派俳優たちが担当しています。なかでも、万事屋の紅一点で戦闘部族「夜兎」の神楽を「千年に一度の美少女」として有名だった橋本環奈さんが演じました。

 作中の神楽は下品なシーンの多いキャラのひとりで、ヒロインでありながら鼻をほじったり、漏らしそうになったり、吐いてしまったりと衝撃シーンが有名で、「ゲロイン」の愛称でも知られています。橋本さんはそんな神楽を体当たりの演技で再現し、大きな話題を呼びました。白目をむきながら鼻をほじるシーンや、大量のゲロを吐いてしまうシーンなど、まさに「リアル神楽」と言われるのも納得の演技を見せています。

 ネット上では橋本さんの神楽について、「清純派だと思ってたら無茶しすぎてて笑った」「ハマり役すぎる」「しゃべり方もアニメ版(釘宮理恵さん)に似せてるのすごい」といった称賛の声があがっていました。

 実写映画2作のほかに、2018年のdTVオリジナルドラマ『銀魂2 -世にも奇妙な銀魂ちゃん-』の第1話「眠れないアル編」では、橋本さんはバキバキの目で「眠れないアル」と連呼する神楽を熱演します。眠るために食事をとるも、食べ過ぎてお腹が妊婦のようになる衝撃の姿も再現し、「眠れないアルの言い方めっちゃ神楽」「どんどん神楽そのものになってる」と、こちらも大きな話題を呼びました。

『のだめカンタービレ』野田恵(上野樹里)

 クラシック音楽をテーマに世界的指揮者を目指す音大生の千秋真一と、幼稚園の先生を夢見る落ちこぼれ生徒の野田恵(通称:のだめ)の交流を描いた『のだめカンタービレ』は、2006年にフジテレビ系にて実写ドラマ化されています。

 千秋を玉木宏さん、のだめを上野樹里さんが演じ、ふたりの絶妙な掛け合いも絶賛されました。

 上野さん演じるのだめは、私生活もだらしなくピアノも真面目に取り組まない生徒ですが、一度聞いた音楽はすぐに弾けてしまうという天才的な一面を持っています。奇声も発する変態的な性格もあわせ持つのだめを、上野さんはマンガの世界から飛び出してきたかのような完成度で演じ視聴者を驚かせました。

 ネット上では当時から「千秋センパーイの声が原作のイメージそのまま」「コメディ要素が多いけどのだめの葛藤や苦悩もしっかりと表現していて素晴らしい」といった声があがっており、多くの人が納得の出来栄えで実写化成功作の代表例となりました。完結編となる映画2部作も大ヒットしています。

『君に届け』黒沼爽子(多部未華子)

 2010年に実写映画化された『君に届け』は、「別冊マーガレット」にて連載された少女マンガです。映画化のみならず2023年にドラマ化されるなど、長く愛されています。

 主人公の黒沼爽子(くろぬま さわこ)は、優しい性格ながら「貞子」と呼ばれる暗い見た目の少女でしたが、クラスメイトで人気者の風早翔太(かぜはや しょうた/演:三浦春馬)と親しくなり徐々に変わっていきます。健気な爽子と、翔太との関係がどのように進展していくのかが見どころです。

 そんな爽子を演じたのは、当時すでに多数の作品で主演を務めていた多部未華子さんでした。多部さんは内気ながらピュアな性格の爽子を、持ち前の高い演技力で原作のイメージ通り演じています。特に、翔太をはじめとする登場人物たちと触れ合い、だんだん明るくなっていく多部さん演じる爽子の姿に多くの観客が魅了されたようです。

「一生懸命な感じが原作の爽子そのもの」「あの独特な陰のオーラを出せるのが凄い」「怖がられるところではきちんと怖がられてもしょうがないような演技をしてたし、笑うとこではきちんと爽子スマイルを見せてくれた」「完璧な配役」と、今も絶賛されています。