「これから先の人生でずっと記憶に残る特別な勝利」。死闘を制したアメリカ、レブロンは「試されるのは大歓迎」と決勝へ意気込み<DUNKSHOOT>

「俺たちはどんなタイプのバスケットボールにも対応できる。ディフェンスで全員が集中している時は世界でもベストなチームだ。もちろん、俺たちはショットも決められる。第4クォーターは全員で団結してプレーした。そのお陰で勝利できたんだ」

 そう語ったのは、アメリカ代表のケビン・デュラント。現地8月8日に行なわれたパリオリンピックの男子バスケットボール準決勝で、アメリカはセルビアを95-91で下して決勝進出を果たした。

 この試合でアメリカがリードしたのは、40分のうち3分25秒間のみ。準々決勝までの4試合でいずれも17点差以上をつけて勝利を飾ってきた王者は、決勝の舞台を前に今大会最大の苦戦を余儀なくされた。

 第1クォーター途中からセルビアが主導権を握り、第2クォーター中盤には最大17点差をつけられる。後半にアメリカが追い上げを図るも、なかなか差は縮まらず、第4クォーター開始時点でも13点差がついていた。

 しかし、最後に笑ったのは豪華戦力を誇るチームUSAだった。逆転の立役者となったのは9本の3ポイントを含むゲームハイの36得点に8リバウンドをマークしたステフィン・カリー、16得点、12リバウンド、10アシストのトリプルダブルを達成したレブロン・ジェームズ、クラッチタイムに貴重な追加点となるジャンパーとターンオーバーを誘発する好守を見せたデュラント(9得点)、19得点を奪ったジョエル・エンビードだ。
  コート上の選手たちが連動し、素早いボールムーブメントと正確なショットで得点を重ねたセルビアのチームプレーは、確かにアメリカを上回っていた。

 それでも、アメリカは終盤に “スーパースタートリオ”がギアを上げる。残り3分41秒にレブロンのレイアップで同点に追いつくと、再び2点を追う展開でカリーが長距離砲をヒット。第1クォーター中盤以来初のリードを奪うと、その後もレブロン、カリー、デュラントが加点。チーム最後の13得点をこの3選手が叩き出し、難敵セルビアを仕留めてみせた。

 また、セルビアにとっては主砲ニコラ・ヨキッチのファウルトラブルも痛かった。この試合で17得点、5リバウンド、11アシストと大車輪の活躍を見せたビッグマンは、第4クォーター残り7分19秒に4つ目のファウルが宣告されると、ここからエンビードのショットを止められず。エンビードは残り6分から4分20秒までの間に7得点を稼ぎ出し、その後の大逆転につなげた。「素晴らしいことだね。俺は39歳で、22度目のシーズンになる。これから先、この大会のように何かを競い合える大きな舞台にどれだけ多く立てるかわからない。今夜はまさにそんなビッグゲームだった」

 レブロンは試合後にそう語り、10日(日本時間11日04:30)に迎えるフランスとの決勝についても口を開いた。

「(フランスは)ものすごく負けず嫌いなチーム。確かに、ウェンビー(ヴィクター・ウェンバンヤマ)にとっては初のオリンピックだけど、あのチームは長い間ずっと一緒にプレーしてきた。しかも(ホームの)観客の後押しが彼らにパワーを与えている」
  世界最高クラスのチームバスケットを奏でるセルビアを下したアメリカ。デュラントが「ここにいるみんなにとって、これから先の人生でずっと記憶に残る。それだけ特別な勝利だった」と語れば、レブロンは「試されるのはいいこと。大歓迎だね。俺たちが掲げる究極のゴール(金メダル)まであと1勝だ。土曜日の試合を楽しみにしている」と、自身3度目のオリンピック優勝に向けて意気込んだ。

 アメリカが勝てば大会5連覇、片やフランスは初優勝がかかる大一番。しかも開催国の優勝となれば、1996年のアトランタ大会を制したアメリカ以来となる。決勝戦は序盤から両チームの意地と意地がぶつかり合う白熱した攻防が展開されるに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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