原作改変がうまくいったアニメと聞いて、あなたはどんな作品を思い浮かべましたか? 「原作改変」と聞くとあまりいいイメージはないかもしれませんが、大成功したアニメ作品も数多くありました。



原作改変も好評だった『お兄ちゃんはおしまい!』ビジュアル (C)ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会

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改悪ばかりとは限らない! 作品をパワーアップさせた愛ある改変

 近年、マンガなどを原作とする作品のアニメ化や実写化といった展開において、原作の設定やストーリーの過剰な「改変」がたびたび問題になります。しかし、なかには原作の世界観や本質を崩さない形で改変を行い、成功した作品ももちろん、多数ありました。

 例えば、アニオリキャラの導入で、エンディングが原作と比べて大きく変化した作品として、TVアニメ『血界戦線』が挙げられます。『血界戦線』は内藤泰弘先生によるマンガが原作で、アニオリの主要キャラとして双子の兄妹の「ブラック」と「ホワイト」が登場します。ブラックとホワイトは、アニメ監督の松本理恵氏が原案を出し、原作者の内藤先生がキャラクター監修を出がけた、特別な立ち位置のキャラです。

 主要キャラの追加は、話の大筋に関わってくるということで、放送前は「原作が崩壊するんじゃないか」と不安の声が多くあがっていました。しかし、いざ放送が始まると、双子を加えたアニメならではの構成が人気を博しました。ラストも原作とは大きく異なる展開になったものの、ファンからは「設定が破綻したり、丸投げで終わったりしなくて良かった」「綺麗に締められてて満足」と称賛の声があがっていました。

 また、映像化ならではの凝ったオリジナル演出が多かった作品として、TVアニメ『お兄ちゃんはおしまい!』(以下、おにまい!)も放送当時に話題を呼んだ作品です。『おにまい!』はねことうふ先生によるマンガが原作です。妹のいる男主人公が、わけあって女の子に性転換してしまうというTS(トランスセクシュアル)コメディです。話の流れや展開は原作通りであるものの、演出や構成が、アニメ用に大きく変えられました。

 なかでも話題になったのは、第1話です。主人公の「まひろ」が女体化したシーンで、原作ではTV画面に反射した自分を見たことで異変に気が付きます。アニメでは、よりリアルに表現するため、引きで部屋全体を映し、タブレット端末を見て初めて異変に気が付くという描写に変更されました。

 ほかには、原作でカットされていた「立ちション」シーンも、具体的に描写されているなど、「TSの描写がふんだん、かつよりリアルに入れられていた」とネット上の声は好評でした。



中二病で邪王真眼の使い手(自称)である「小鳥遊 六花」 画像は『中二病でも恋がしたい!』 (C)虎虎/京都アニメーション/中二病でも製作委員会

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タイトルが同じ別物? 大胆な改変で人気を勝ち取ったアニメ

 キャラ設定が原作から大幅に変更されたにもかかわらず、アニメが一躍有名となったパターンもあります。虎虎先生によるライトノベルが原作のアニメ『中二病でも恋がしたい!』がその例にあたります。

 本作では、メインヒロインである「六花」の「無口無表情」の設定が、アニメでは真逆で、積極的に中二病アピールをする性格になっています。ほかにも、メインキャラの代わりにアニオリキャラが登場するなど、大胆な改変が行われています。

 下手をすると「原作のいいところをなくしただけ」といわれかねない改変でしたが、本作は六花の「中二病」という設定を、彼女の生い立ちや家庭環境にからめてうまく扱いました。また、アニオリキャラである「凸守早苗(でこもり さなえ)」と「五月七日(つゆり)くみん」の人気が高く、視聴者からは「アニオリなのにキャラとしての完成度が高すぎる」「凸守のいない本作なんて考えられない」という声が多く見られました。