9日夜は関東でもマグニチュード5.3の地震が
今回の震源地からは離れていても、太平洋側の行楽地はいずれも似たような状況だ。関西のリゾート、和歌山県の白浜町では4か所の海水浴場を閉鎖。町営温泉の営業を止め、花火大会も中止した。
町の温泉担当職員はこう証言する。
「『崎の湯』と『露天風呂 しらすな』の温泉2か所を1週間程度休業します。海岸に直接面していたり、海水浴場内で水着のまま入る温泉なので安全を最優先に考えました。人口が約2万人の白浜町には、年間約300万人の観光客の方にいらしていただいています。今回、休業する温泉はどちらも観光客の方に人気の場所なので、お盆前ということもあり『経済的な部分での打撃が心配だ』という声も届いています」
中止になった「2024南紀白浜花火フェスタ」を主催する南紀白浜観光協会の担当者は「打ち上げ場所の浜が使えない状況のため、お客さまの安全面を考慮して中止する判断に至りました。今日だけで約200件の電話対応をしました。『花火大会が中止になって残念だ』『ホテルをキャンセルしないといけなくなった』という声が多いです」と残念そうだ。
南紀白浜マリオットホテルにも地震が報じられた後、キャンセルの連絡や「現状を知りたい」という問い合わせが相次ぎ、9日の宿泊予定は約1割がキャンセルされたとホテル従業員のCさんは話す。
「きょうは海水浴場が閉鎖されていることを知らずに来たお客さまもいました。明日(10日)の花火大会が中止になったということもあり、『キャンセルするか迷っている』というお問い合わせの電話も多かったです。明日は今日以上にキャンセル連絡が多いことが見込まれます」(Cさん)
南海トラフ地震臨時情報を受け、JR西日本が特急「くろしお」を運休したため、ホテル側はキャンセル料を取っていないといい、お盆の繁忙期も相まって大きな損失が見込まれるという。
それでもCさんは「自然災害によるものなので仕方ないと考えております。今のところホテル周辺は地震の被害は受けておらず、ホテルは通常通り営業しているので、来ていただいたお客さまには楽しんでもらいたいです」と話している。
一方、9日午後7時57分ごろには関東でもマグニチュード5.3の地震が起き、神奈川県西部で震度5弱を観測。東京都内でも大きく揺れた。この地震による津波の恐れはなく、震源も南海トラフ巨大地震の想定震源域から外れているため、南海トラフ地震との関連はないとの見方が強まっているが、全国どこでも地震への備えを改めてしっかりと見直すことが求められそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班