ノエル「俺たちは音楽で火をつけた」
仲がいいのか悪いのか分からないギャラガー兄弟の間に漂う緊張と口論も、バンドをタフに成長させることに一役買っていた。反体制を貫くオアシスは権力やメディアに叩かれていくが、そんなことではビクともしなかった。
1996年8月10日、11日に開催されたネブワース公演には、何と250万人もの申し込みがあり、25万人の観衆を集めた。このステージはオアシスの頂点といわれている。
公営住宅から生まれたバンドがわずか数年で切り拓いた道程。
しかし、この日を境にオアシスは“ブランド”や“ビジネス”に覆われて、昔の仲間たちも企業や資本に切り捨てられていく。
ノエルが「終わりの始まりだった」と言うように、彼の視線の先にはオアシスの解散がすでに見えていたのかもしれない。世の中にネットカルチャーが台頭してくるのもこの頃。世界は凄まじいスピードで変わろうとしていた。
弟リアムは、デビューからの数年間をこんな言葉で振り返った。
「悲しいことやムカつくこともいろいろあったけど、ほとんどがハッピーで楽しい思い出だよ」
そして兄ノエル。
「俺たちは音楽で火をつけた。ファンは俺たちの船に乗った。俺たちとみんなの間には何かが通じ、磁石のように引きつけ合った。愛もヴァイブも情熱も、怒りも喜びもみんなからもらった。それがオアシスだ」
文/中野充浩、TAP the POP サムネイル/Shutterstock
*参考・引用/映画『オアシス:スーパーソニック』