開催国フランスの圧に屈しなかったスペインのメンタルは化け物。プレーで特筆すべきはベルナベの超絶技巧【パリ五輪/コラム】

 現地8月9日、パリ五輪の男子サッカー決勝でスペインが底力を見せつけた。フランスの勢いに呑み込まれそうだった序盤の時間帯に1失点しながらも落ち着きを取り戻し、そこから鋭い攻撃でフランスの守備陣を打ち崩してフェルミン・ロペスの2ゴール(18分、25分)で逆転すると、その3分後にバエナがFKを直接叩き込む。

 チャンスを決め切る力が半端なく、観衆からの後押しもある開催国フランスの勢いをいとも簡単に削いでいく。半ば強引に試合の流れを掴む力は、正直、驚きだった。

 後半はフランスに2点を返され、3-3に追いつかれてしまう。フランスのPKでの同点弾はアディショナルタイムと、ここでスペインの心が折れてもおかしくなかった。しかし、延長戦に入るとスペインはフランスを嘲笑うかのように決定的なゴールを奪う。

 100分、ベルナベの完璧なラストパスに反応したカメージョが美しいループシュートで4点目を奪うのだ。ここで押さえておきたいのは、ベルナベの超絶技巧。セルヒオ・ゴメスからのパスを最高のトラップとターンで収めると、相手の股を抜くスルーパスで決定機を作り出す。あの密集地帯でこのプレーをするのか、と。
 
 そして決めたカメージョの冷静さも特筆に値した。GKの動きも読んでのループシュートは、芸術と言ってよかった。

 延長戦にあのような完璧なゴールを決められたらフランスはお手上げだろう。

 結局、もう1点加えたスペインが5-3で勝利するのだが、開催国フランスの圧に屈しない彼らのメンタルはまるで化け物だった。決勝で今大会最高のゴールを決めたスペインは、金メダルに相応しい国だった。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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