ここのコーナーでは、オリンピック海外の注目選手をピックアップ。国を代表し、意地とプライドをかけて戦う選手たちのスイングの見どころは?
これを見ればオリンピック観戦が10倍楽しめる!
安定したドローボールを放つ究極のワンプレーンスイング
今シーズン、ファウンダーズカップでツアー2勝目を飾りました。何かに飛び抜けているというより、バランス型の選手でアベレージスコアは71(全体の14位)。スコアをまとめる力で、つねに上位にいる。スイングはクラブを効率よくさばきながら飛ばしてくるタイプで、肉体を酷使してハードヒットするようなことはありません。
アドレスはとてもニュートラル。バックスイングにもあまりリキみがなく、どこかが過度に回転することもありません。トップのポジションはややレイドオフに入れています。最近はあえて少しクロスポジションにクラブを入れ、ヘッドが背中側へ振り出される力を利用しながらスイングスピードを加速させる選手もいますが、彼女の場合ははじめからダウンスイングのプレーンに振り上げている印象です。
切り返しでは下半身が先行し、上半身との捻転差が最大になります。胸の向きが飛球線後方を向いているのに対して、骨盤は目標方向へ向きはじめているので、常人では考えられないほど体幹に柔軟性があるといっていいでしょう。これだけ捻転差が大きくなってしまうとフェードボールは打ちにくいはず。彼女の持ち球がドローであることと辻褄が合います。
インパクト直前からは下半身の回転は減速し、足を踏み込んでジャンプするような力を出します。いわゆる“地面反力”を使っているということです。
この反作用でクラブが大きく振り出され、一気に体の正面をヘッドが通り抜けます。手元に対するクラブの運動量が多く、フォローでのアームローテーションはややキツめ。かなりのインサイドアタックですから、それで帳尻を合わせているのでしょう。
いかがでしたか? 今後のローズ・チャン選手の活躍に期待が高まりますね。
Rose Zhang(アメリカ代表)
●ローズ・チャン/2003年生まれ。168cm。23年にプロ入り。それまでアマチュア世界ランキング1位に長らく君臨。プロ転向後すぐに「みずほアメリカズ・オープン」で優勝。24年には「ファウンダーズカップ」で早くも2勝目をあげた。名門スタンフォード大学出身。
解説=大川夏樹
●おおかわ・なつき / 1988年生まれ、神奈川県出身。マンツーマンを中心に、多くのアマチュアゴルファーをレッスンする人気コーチ。(インスタグラムアカウントNATSUKI72_GOLF)。
写真=田辺JJ安啓
※選手のデータや成績は、7月6日現在のもの