現在行なわれている男子テニスツアーのマスターズ1000大会「ナショナルバンク・オープン」(8月6日~12日/カナダ・モントリオール/ハードコート)は現地10日、前日に雨天順延となったシングルス3回戦が行なわれ、度重なるケガからの完全復活を目指す元世界ランク4位の錦織圭(現576位)が登場。ヌーノ・ボルヘス(ポルトガル/43位)に6-3、6-4で快勝し、同大会8年ぶり3度目のベスト8進出を果たした。
2回戦では第8シードで世界11位のステファノス・チチパス(ギリシャ)に6-4、6-4で完勝した34歳の錦織。ボルヘスとの3回戦は現地9日昼過ぎの開始を予定していたが、悪天候により10日に順延となっていた。3回戦の勝者は同10日に実施される準々決勝とのダブルヘッダーを戦うことになっている。
1日空いて迎えた3回戦、錦織は第1ゲームからダブルフォールトとストローク戦でのミスで相手にブレークポイントを握られるもサービスのフリーポイントで何とかセーブ。反対に直後の第2ゲームでは正確なリターンを軸に流れを作ってラブゲームでブレークに成功する。以降も錦織はミスを重ねながらも粘りを見せ、計7本のブレークポイントを凌いで第1セットを先取した。
第2セットの立ち上がりでは風の影響もあってか錦織がミスを連発し、第2ゲームで早々にブレークを献上。それでも直後の第3ゲームでは気持ちを切り替え、相手のダブルフォールトとミスに乗じてブレークバックを果たす。その後は互いにキープが続いたが、迎えた第7ゲームでは錦織が深いショットと粘りのディフェンスでボルヘスのエラーを誘ってブレークを奪い、勝利まであと2ゲームと迫る。
攻め球のエラーが出たことで第8ゲームをキープできなかった錦織だったが、続く第9ゲームでは相手のミスを生かしてブレークのチャンスをつかむ。これをフォアハンドのウィナーで取り切ると、サービング・フォー・ザ・マッチとなった第10ゲームをきっちりとキープし、1時間28分で試合を締めくくった。
四大大会に次ぐグレードを誇るマスターズ大会での8強入りは、2019年5月のイタリア国際(イタリア・ローマ/クレー)以来約3年3カ月ぶり。試合後は連日現地から生中継している『WOWOW』のインタビューで試合内容を振り返りつつ、次のように手応えを口にした。
「かなり風が吹いていたので、両サイドともプレーしにくかったが、その割にショットは入ってくれた。彼(ボルヘス)のフラットな球筋に苦労はしたけど、攻めるところは攻めて、しっかりプレーできたと思う。テニスも安定してきている」
この後日本時間11日午前9時30分以降に行なわれる準々決勝では世界46位のマテオ・アルナルディ(イタリア)と対戦する錦織。リカバリーの時間が短いだけに、ボルヘス戦をストレートで勝てたのは大きい。この勢いのまま次戦でのベスト4入りも大いに期待したい。
文●中村光佑
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