このコーナーでは、オリンピック海外の注目選手をピックアップ。国を代表し、意地とプライドをかけて戦う選手たちのスイングの見どころは?
これを見ればオリンピック観戦が10倍楽しめる!
スイングも筋力も正確無比でパワフル
今季、無類の強さを誇り、パリ五輪では金メダリストの第一候補として注目をされています。アドレスは腕とクラブが大文字の「Y」の形になっていて、これはボールが一般的なポジションよりもスタンスの真ん中寄りにセットされていることの証し。ボールをスタンスの中央にセットし、持ち球のドローを打ちやすくしています。
バックスイングでは骨盤が安定していて、左右にほぼズレないタイプ。ここでカン違いしてはいけないのが、骨盤が移動しないから体重移動をしていないわけではないということ。右サイドにクラブを振り上げていくことによって重心は本来は右へズレるものですが、それを右足でしっかり受け止めているから骨盤のポジションが動かないのです。
トップのポジションでは胸が90度以上回転していて、写真のアングルだと右肩の頂点が見えるほど。これは、ドローヒッターの代表格であるローリー・マキロイのスイングにも見られる共通点です。
切り返しではクラブが背中側へ倒れることにより、手首とシャフトのなす角度がかなりキツくなる。彼女のすごいところは、これだけ体とクラブの動きのラグが大きくても、決して振り遅れないこと。
通常これほどにクラブと体の回転に差ができると、腕が体の正面から外れて振り遅れてしまうものですが、インパクトからフォローにかけ、その様子はありません。腕が体の正面から外れてしまうと左腕の二の腕が胸板にくっついてしまいますが、左腕と胸板のスペースをスイング中に維持し続けられているので、振り遅れが生じないのでしょう。
ほっそりとしたボディラインですが、肉体的にもとても強く質のよい筋肉をまとっている、さすがの金メダリスト。隙のないスイングです。
Nelly Korda
(アメリカ代表)
●ネリー・コルダ / 1998年生まれ。178cm。米女子ツアー賞金ランキング1位。メジャー2勝を含むツアー通算14勝。今季は「ドライブオン選手権」からの出場試合で5連勝を達成。他を寄せつけない強さを見せて、パリ五輪では連覇の期待がかかる。
解説=大川夏樹
●おおかわ・なつき / 1988年生まれ、神奈川県出身。マンツーマンを中心に、多くのアマチュアゴルファーをレッスンする人気コーチ。(インスタグラムアカウントNATSUKI72_GOLF)。
写真 = 田辺JJ安啓
※選手のデータや成績は、7月6日現在のもの