「いつ、どこに負けたの?」日本人メダリストが脚光を浴びる中、準々決勝でアメリカに敗れたなでしこジャパンはきっとライト層の記憶に残らない【パリ五輪/コラム】

 パリ五輪の女子サッカーは、決勝でブラジルを破ったアメリカが優勝という結果に終わった。それを受け、なでしこジャパンもメダルを獲得できたとの声もあるが、果たしてそうなのだろうか。

 個人的に抱いたのは、むしろ危機感。アメリカ戦、なでしこジャパンが選択したのはいわゆる“弱者の戦い方”。引いて守って、チャンスがあればカウンター狙いのサッカーだった。

 相手を格上と認めたうえで、おそらくそうしたのだろう。しかし、結果はご存知の通り、0-1の完封負け。アメリカに勝つならこれしかないというパフォーマンスを実践しながらも、最後はロッドマンの個に屈した。これ以上ないプレーを見せても勝てない。そこに限界を感じた。あれで負けるなら、もう仕方ない。アメリカのほうが一枚上手だったと。

 ブラジル撃破の立役者である谷川が万全のコンディションで臨めていたらとの見方もあるが、結局のところ、なでしこジャパンは選手層が薄かった。戦い方によって選手を入れ替えてくるアメリカとはその点でも違った。
 
 正直、熊谷を実力で追い越す選手が出てこないと、なでしこジャパンの進化はあり得ない。パリ五輪の結果はベスト8。メダルに届かなかったというのが、紛れもない真実である。

 何より悔しいのは女子サッカーに注目してもらえる絶好のチャンスをアメリカ戦の敗戦で逃してしまったこと。他競技の日本人メダリストが脚光を浴びる中、なでしこジャパンは…。ライト層からすれば「いつ、どこに負けたの?」となるはずだ。

 なでしこジャパンの未来を考えるうえで、まず強化が必須なポジションはセンターフォワードとセンターバック。センターラインが脆弱なチームは国際舞台で勝てない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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