アマリ・トラオレは、昨シーズン、タケ・クボ(久保建英)と右サイドで共闘した。カンテラーノが大半を占めるチームにおいて、マリ人選手と日本人選手が同じサイドでコンビを組むのはある意味、驚きだ。
個性も競争心も強い2人は、異色のコンビである。「それが人生さ。サッカーと運命が2人を引き合わせた。議論はよくかわすよ。タケは穏やかなナイスガイだ。ボールを前進させるために協力して最適な選択肢を見つけなければならない。タケのことはとても尊敬している。センスの塊だ。抜群の貢献度を誇る。彼と一緒にプレーするのはとても快適だ」
トラオレはサッカーに対してとにかく貪欲な選手だ。そんな彼にとってタケのレアル・ソシエダでの活躍はさしたる驚きではなかったという。
「タケのことは僕がソシエダに加入する前から知っていた。だからどれくらい貢献できる選手かは分かっていた。でも同時にまだまだやれる。彼自身もそれは分かっているはずだ」
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タケは昨シーズン後半戦、失速した。きっかけになったのが、アジアカップへの出場で、ちょうど同じ時期、アフリカ・ネーションズカップに参戦するためチームを離れていたトラオレはその過酷さを誰よりも知る。
「気持ちを切り替える時間がまったくといっていいほどなかった。殺人行為に等しいスケジュールだよ。タケが僕と同じようなネガティブな感情に陥ったとすれば、それは普通のことだ。日本は優勝候補に挙げられていた。敗北(準々決勝で敗退したことで)のショックを引きずり、心の整理をつけるのは難しかったはずだ。
でも彼は決して隠れることなく、常にチームを助けていた。その点、僕はダメだった。その切り替えがとても難しかった。今シーズン、チームのためにまた2人で協力していいプレーを見せていきたい」
開幕まで1週間を切る中、ソシエダは、主力の去就に揺れている。すでにアトレティコ・マドリーへの移籍が決まったロビン・ル・ノルマンに続いて、今現在、メガクラブの標的になっているのがミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディ、そしてタケの3選手だ。
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トラオレが望むのはもちろん全員の残留だが、同時にキャリアの重大な決断を下さなければならない境遇にも理解を示す。
「もちろん全員残ってほしい。タケのようにいとも簡単に局面を崩す、チームに必要不可欠な選手ならなおさらだ。でも移籍を決断しても、それはそれぞれの選択であり、クラブのためにすべてを捧げてきた彼らを非難するような者は誰もいない。僕たちはその決断を受け入れなければならない」
「今は推移を見守る以外にない。彼らが非常に重要な存在であることは明らかだ。残ってくれれば大きなプラスになる。でも仮に出て行くことになっても、僕たちは新シーズンに向けて、1つでも多くの勝利を手にすることができるようにハードワークを続けるだけだ」
取材・文●ミケル・レカルデ(ノティシアス・デ・ギプスコア)
翻訳●下村正幸
※ノティシアス・デ・ギプスコアの許可を得て、インタビューを掲載しています。
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