現在行なわれている男子テニスのマスターズ1000大会「ナショナルバンク・オープン」(8月6日~12日/カナダ・モントリオール/ハードコート)は現地10日にシングルス準々決勝が行なわれ、元世界ランク4位の錦織圭(現576位)がセンターコートのナイトセッション第2試合に登場。ノーシードのマテオ・アルナルディ(イタリア/46位)と対戦したが、4-6、5-7で敗れ、残念ながらベスト4進出とはならなかった。
同10日の昼過ぎに行なわれた3回戦ではヌーノ・ボルヘス(ポルトガル/43位)に6-3、6-4で勝利した錦織。ダブルヘッダー2試合目となったアルナルディとの準々決勝も雨のため予定よりも開始が遅れ、試合が始まった時にはすでに22時半を過ぎていた。
錦織にとって2018年4月のモンテカルロ・オープン(モナコ・モンテカルロ/クレー)以来約6年4カ月ぶりのマスターズベスト4が懸かっていたこの試合は、アルナルディの粘り強いディフェンスに苦戦を強いられる。
第4ゲームで3本のブレークポイントを凌いだ錦織は、直後の第5ゲームで先にブレークを果たすも、続く第6ゲームではプレーをさせてくるアルナルディに対してミスが重なりブレークバックを献上。錦織は積極的にネットプレーも織り交ぜたものの、幾度となくロブで対応され流れをつかむことができない。
スコア4-5で迎えた第10ゲームではミスが多発した錦織。何とか踏ん張りたいところで痛恨のサービスダウンを許して第1セットを4-6で奪われると、第2セットに入ってもアルナルディの堅い守備に手を焼き、第1ゲームから3ゲームを連取されてしまう。それでも第5ゲームでは持ち味のリターンから形を作り、リターンエースも決めて3本のブレークポイントを取得。これを1回で取り切ってブレークバックに成功し、3-3に追いつく。
以降は互いにサービスキープが続く緊迫の展開。そのままタイブレークに突入するかと思われたが、迎えた第12ゲームではアルナルディの抜群のコートカバーリングに痺れを切らした錦織がミスを連発し、相手のマッチポイントでもバックハンドが無情にもサイドアウト。最後まで力を振り絞った錦織だったが、2時間の熱戦の末に準々決勝敗退となった。
それでもケガなく戦い切れたこと、さらには2回戦で世界11位のステファノス・チチパス(ギリシャ)を破るなど全盛期を彷彿とさせるようなプレーが多々見られたことなど、今後に向けて収穫の多い大会だったのではないだろうか。
間もなく更新される世界ランキングでは220位前後まで一気にジャンプアップする錦織。次戦は全米オープンと同週に開催される下部大会の「コモ・チャレンジャー」(8月26日~9月1日/イタリア・コモ/クレー)にプロテクトランキング(公傷制度)で出場する予定だ。とにかく今は試合数をこなしながら状態を上げていってほしい。
文●中村光佑
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