「あらゆるレベルで、スペインは現在のサッカー界を支配している」
英公共放送『BBC』はそう書き出し、近年の栄華を振り返る。
「男子代表チームは今夏にイングランドを破って欧州チャンピオンに輝き、女子代表チームは昨年のワールドカップで優勝した。
また、レアル・マドリーとバルセロナは、欧州クラブサッカーの2大タイトルも保持しており、昨シーズンは男子と女子のチャンピオンズリーグでそれぞれレアル・マドリーとバルセロナが優勝した。
そしてパリでは男子チームがフランスをくだし、彼らはオリンピックの金メダルを功績リストに加えた」
なぜ、スペインはこれほどまでに強大な勢力になったのか。『BBC』はあらゆる角度からその理由を探っている。
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まず女子サッカーについては、「過去10年間で成長を遂げ、プレッシャーのかかる試合でも大きな成功を収め始めている」とし、現在はジャーナリストとして活躍する元選手のマリア・ガリードのコメントを紹介する。
「スペインの女子サッカー界における変化は特に著しい。私がバルセロナでプレーしていた10年前、女子のためのラ・マシア(バルセロナの有名なアカデミー)はなかった。交通費は自費で、練習には両親が連れて行ってくれて、収入はゼロでした。
だけど、過去5年間で状況は劇的に良くなりました。ユース部門の増設、施設や環境の改善、女子サッカー専門アカデミーの設立など、女子サッカーの振興に向けた大きな取り組みがなされてきました。この変革はスポーツに革命をもたらしただけでなく、スペインにおける女子サッカーへの尊敬も高めたのです」
続けて、記事では指導者の継続性も「スペインの最近の優位性において重要な役割を果たした」と指摘する。
「今夏に男子チームをユーロ2024の優勝に導いたのはルイス・デ・ラ・フエンテだった。63歳の同氏は2022年に代表チームの監督に就任したが、それ以前にもU-19、U-21、U-23の複数のチームを率いていた。ドイツでの勝利は、彼にとって母国代表として3度目の欧州選手権優勝であり、U-19とU-21でも優勝を果たしている。
また、昨年の女子ワールドカップでスペインを優勝に導いたホルヘ・ビルダは、8年間にわたり代表監督を務めていた。彼は以前、U-17およびU-19の代表チームの監督としてタイトルを獲得していた」
先述のガリードは、「17歳以下と19歳以下のコーチをシニアチームに昇格させる慣行により、スペイン代表チーム内で一貫した戦術的アプローチと哲学が育まれてきました」と話し、こう続ける。
「このシームレスな移行により、選手たちは慣れ親しんだ指導者のもとで成長することができ、ユースからシニアレベルまで一貫して統一されたプレースタイルが確保されるのです」
その明確なプレースタイルも大きな強みだ。2000年代後半から2010年代前半まで隆盛を極めた「ティキタカ」(テンポ良くショートパスをつなぐサッカー)の時代は今やほぼ終わったが、「スペインはその原則を完全に放棄したわけではなく、むしろ進化させてきた」と『BBC』は記す。
「ボール保持は依然として彼らのゲームの大事な部分だが、以前ほど重要ではなくなっている。ユーロ2024でクロアチアに3-0で勝利したが、ユーロ2008決勝以来、初めて相手よりボール保持率が低かった。
テクニックとポジショニングはスペインサッカーの重要な要素であり、女子サッカーやユースでもその両方が主な焦点となっている。最終的な目標は、プレーヤーがあらゆるレベルを通じてシステムに精通することだ」
時間をかけて大きな柱を立て、それに沿ってブレずに歩みを続けるスペインは、この先のサッカー界もリードしていく存在になりそうだ。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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