五輪女子サッカー決勝で明暗分けたアメリカとブラジル、互いのメディアは「物足りないチームから変貌」「エリートとの差を縮めてみせた」とどちらも好反応【パリ五輪】

 パリ五輪女子サッカーの決勝は現地時間8月10日に決勝が行なわれ、アメリカ代表が57分のマロリー・スワンソンによるゴールでブラジル代表を1-0で下し、3大会ぶり5回目の金メダルを獲得した。

 2004年アテネ大会、2008年北京大会と同じ決勝カードで、今回もその2大会と同様に金メダルに輝いたアメリカ。スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「金メダル獲得がアメリカやそのプログラムに対する尊敬や評価を回復させた」と題した記事において、エマ・ヘイズ監督率いるチームの栄光の歩みを称賛した。

 同メディアは、「女子サッカーにおけるアメリカの没落の噂は大いに誇張されていた。ちょうど1年前、アメリカは女子ワールドカップのラウンド・オブ16で敗退し(スウェーデンにPK戦で敗北)、最低点に転落した。結果だけでなく、大会を通して“陰鬱”なパフォーマンスに終始したことが、女子サッカー界におけるアメリカの位置付けについて疑問を呼び起こした」と、昨年の苦しかった時期を振り返る。
  そして、「アメリカはそのような見方に対する長期的な反論を、9回目のメジャータイトル獲得により、見事に締め括った。スワンソンのゴールはこの大会の決勝点として、非常に印象的なものだった。新監督は就任からわずか2か月で新たなアイデアと信念をチームにもたらすと、アメリカは昨年の物足りないチームから明らかな変貌を遂げ、各ラインにワールドクラスのタレントを擁する集団には、新しい風が吹き込んだ」と綴った。

 アメリカが忍耐力をもって現状を受け止め、最善を尽くした末での栄光だったことを指摘した同メディアは、「戦略は成功した。2023年の失望は、女子サッカーの長い崩壊の始まりとはならず、むしろ『目覚まし』となったようだ。そしてアメリカは、再び頂点に立った」と締めている。 一方、「三度目の正直」を狙ったブラジルは、またしても決勝で涙を飲むことになったが、母国の総合メディア『Globo』は、「最少得点差で敗れたものの、ブラジルがこの大舞台に相応しいプレーを見せたことを認めるのは最もフェアなことだろう」とポジティブに自国代表チームを評し、以下のように続けた。

「銀メダルへの道を振り返ると、まずは良くなかったグループステージを思い出すのが自然だが、同時にノックアウトステージが始まってから、フランスやスペインを相手に見せた戦いぶりも忘れてはならない。そして決勝では、前半に最高のチャンスを作り、後半に押し切られるまで優勢に試合を進めた。最終的に、昨年のW杯での失望から1年を経て、大きな期待を背負わずにパリに乗り込んだチームが、再び国際的なエリートとの差を縮めてみせた」
  昨年のW杯ではグループステージ3位で敗退を喫し、そこから1年経ってビッグトーナメントのファイナリストとなったことを、同メディアは高く評価。「再びビッグタイトルを逃したことへの失望が残る。しかし今回の大会では、W杯での早期敗退とは全く異なる感覚を得られた」と綴った同メディアは、今後への課題を指摘しながら、期待も寄せている。

「ブラジルは今回、国際的なエリートとの対戦で競争力を感じさせたものの、創造力を向上させるためにはまだ長い道のりがある。チームを牽引してきたマルタは去るものの、メンバーの大半は今後の数年で成長する可能性を秘めている。そして、新しいコーチングスタッフは、パリでの不安なスタートの後、チームを前進させることができたようだ。未来への道は開けていると言えるだろう」

構成●THE DIGEST編集部

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