プロレスリング・ノアは真夏の最強戦士決定戦『N-1 VICTORY 2024』8.9東京・後楽園ホール大会を開催した。メインイベントではGHCヘビー級王者として優勝を目指す清宮海斗と新日本プロレスから武者修行中の大岩陵平が対戦。昨年は『N-1』を欠場し、新日本の『G1クライマックス』に出場した清宮は、優勝戦線には絡めなかったものの、最終戦でタッグを結成した当時はまだヤングライオンだった大岩の才能に惚れ込んで、ノアへのレギュラー参戦を要請。大岩や新日本もこれを認めたため、大岩は海外ではなく他団体で武者修行を行なうこととなった。年末から年明けにかけてはEVIL率いるH.O.Tが新日本とノアのマットを荒らしまくったため、新日本の海野翔太らとともに抗争を繰り広げていた。しかし、今年5月に清宮がGHC王座を奪還すると“ノアの改革”を旗印に拳王らと新勢力オール・レベリオンを結成。タッグパートナーだった大岩も勧誘するが、大岩は清宮との決別を決断。二人は敵対関係となった。
試合は序盤から大岩が新日本仕込みのグラウンドに1年間に渡るノアマットで小川良成から習得した全日本プロレス流派のレスリングスタイルを混ぜる形で、清宮に成長した姿を体感させていく。初めはこれを受け止めていたかのように見えた清宮だが、ドラゴンスクリューからの足4の字固めをはじめ、足を徹底的に痛めつける。
この1年間で清宮を超えるパワーを身につけた大岩はダイビングボディプレス、サイドスープレックスなど力技を披露。大岩はさらにドクターボムを狙うが、清宮はフランケンシュタイナーで切り返すと、いろんなバージョンのシャイニングウィザードから変型タイガードライバーを放ち、とどめの変型シャイニングウィザードの体勢に。しかしその清宮を受け止めた大岩は強引にドクターボムを放ちカバーに入ろうとしたところで30分が経過して時間切れ引き分けのゴング。後楽園に詰めかけたファンからは激戦を繰り広げた二人に対して拍手と熱い声援が贈られた。自らが誘った大岩に勝てなかっただけじゃなく、『N-1』初勝利も出来なかった清宮は悔しさを滲ませていた。大岩にとっては価値ある引き分けではあるが、惜しい場面もあっただけに、悔いは残ったようだ。
バックステージで清宮は「ああクソ。情けない…クソ。チャンピオンとして情けない。こんな結果で逃げ出したいぐらい。チャンピオンとしてダメだな、そんなこと言っちゃ。そんなことじゃダメだな。ただ、大岩陵平。甘かった。俺が思ってる以上にノアの闘いをあいつは吸収してたよ」とノアと新日本のハイブリッドレスラーとなった大岩の成長を素直に認めた上で「これで終わんねえぞ、クソ。まだまだリーグ戦がある。負けた、引き分けた。でもまだあきらめねえよ。必ず熱いリーグ戦、俺が見せるよ。まだまだ終わらねえ。クソ!」と叫んで控室へ。
一方の大岩は「チクショー、清宮海斗。おい、俺はあいつと絶対決着付けなきゃいけなかったんだ。今日負けてねえよ。でも、取りきれなかった。俺とあいつ、いつか必ず決着つけてやるよ。あと、N-1まだ0勝だよ。チクショー。今日引き分けでよりスイッチが入った。明日は試合がないけど、明後日からの大岩陵平、こんなもんじゃねえぞ」と清宮との再戦を誓いつつ、充実した表情を見せていた。しかしこの試合は新日本からノアに武者修行するという新しい試みは成功だったと思えるような大岩の奮闘ぶりだった。そこには『G1』には負けられないという意地があるのも事実。いずれ大岩が新日本に凱旋した際にはモンスター化している可能性が高い。これからも大岩の成長に期待したい。
◆プロレスリング・ノア◆
『N-1 VICTORY 2024』
2024年8月9日
東京・後楽園ホール
観衆 974人
▼ 『N-1 VICTORY 2024』Aブロック公式戦(30分1本勝負)
【0勝1敗1分け=1点】△清宮海斗(時間切れ引き分け)大岩陵平△【0勝1敗1分け=1点】
文⚫︎どら増田
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