現地時間8月10日(日本時間11日、日付は以下同)、アメリカ代表がパリオリンピックの5人制男子バスケットボールの決勝戦で開催国のフランス代表を98-87で下し、大会5連覇を成し遂げた。
決勝で両チーム最多の32分29秒プレーし、14得点、6リバウンド、10アシスト、2スティールをマークしたレブロン・ジェームズは、大会を通じて平均24.5分のプレータイムで14.2点、6.8リバウンド、8.5アシスト、1.3スティールにフィールドゴール成功率66.0%を記録。自身初のオリンピックMVPとオールスター5(大会ベスト5)に選出された。
2012年ロンドン大会以来、12年ぶりのオリンピック出場ながら、39歳の大ベテランは攻守両面でアメリカを引っ張り、申し分ない活躍を見せた。決勝を終えた後の会場インタビューで「ドリームチーム(1992年バルセロナ大会)、リディーム(汚名返上/2008年北京大会)チームがいました。このチームは?」と聞かれると「俺たちはアベンジャーズ(報復者)だ」と言い放った。
昨年のFIBAワールドカップで4位に終わったアメリカにとって、パリ五輪は歴代最高級とも言える豪華なロスターを形成。レブロン、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントの3選手はリーグ史に名を残すスーパースターたちで、その周囲をジョエル・エンビードやアンソニー・デイビス、バム・アデバヨ、デビン・ブッカー、アンソニー・エドワーズ、ドリュー・ホリデー、ジェイソン・テイタムといった実力者たちが固め、パリ五輪を無傷の6連勝で終えた。
大会MVPに選ばれたことについて「俺たちは勝った。それが最も重要なこと。光栄さ。投票者たちのこと、それにどんなケースだったのか俺にはわからない。俺に投票してくれたことにただただ感謝している。俺たちが金メダルを勝ち獲った。俺にとってはそれが最も重要なことだけど、(MVP選出は)すごくクールだね」と語ったレブロンは、昨年のワールドカップで4位に終わったことで危機感を募らせていたと明かしていた。
「俺たちはものすごく早くこのチームを組み立てた。昨年夏の戦いぶりが好ましいものじゃなかったんだ。そこで俺たちは早めにチーム作りを始めた。1か月足らずで結束しなければいけなかった。それができて本当に良かったよ」
スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)の下、7月上旬にラスベガスでトレーニングキャンプを始動させ、エキシビションマッチ5試合をこなしてパリ五輪へ臨んだアメリカ。その成果が実り、列強を抑えて頂点に立った。
昨年夏のワールドカップで失墜したアメリカのバスケ大国としてのプライドを、見事に取り戻してみせた“アベンジャーズ”。そして同時に、レブロン、カリー、デュラントが国の威信を懸けて本気のゲームで共闘する姿を観ることができたのは、世界中のバスケットボールファンにとって幸せだったに違いない。
文●秋山裕之(フリーライター)
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