初戦のパラグアイ戦で2ゴールを叩き出すなど、パリ五輪で存在感を放った三戸舜介(スパルタ)が、8月11日のヘラクレス戦(エールディビジ開幕戦)に右ウイングとして先発し、70分間プレーした。試合は0-0の引き分けに終わった。
スパルタが押し気味に試合を進めた前半、三戸は新加入の右SBライトとの連係を徐々に高めていきながら、再三、ハーフスペースを突く動きを見せた。前半に三戸が作った見せ場は2回。31分、スパルタのGKオライがヘラクレスのCKをキャッチすると、前線に残った三戸に間髪入れずロングキック。難しいボールをワンタッチで処理した三戸は2人のマークを難なく外してカウンターの起点となり左へ展開。そこからスパルタが左サイドを崩し、ライトのシュートで攻撃を終えた。
44分には、巧みに敵のSBとCBの中間にポジションを取った三戸が、ライトのパスを受けてからバイタルエリアにボールを運び、ノープレッシャーで左足シュートを撃ったが右に外した。前半、スパルタが攻勢に出ただけに、三戸にとってはできれば先制ゴールを決めたかったところ。少なくとも枠内にシュートを飛ばしたかった。
「ビッグチャンスでした。チームとしてチャンスがあまりなかったので、あそこで点を決めてたら流れが変わっていたと思います」
後半に入るとヘラクレスがカウンターからチャンスを作り出し、スパルタはポゼッションで上回ったものの劣勢に。三戸自身のパフォーマンスも下がり、70分でベンチに退いた。
「疲労もあって、足をつった感じがありました。(体力的に70分までが)マックスだったと思います」
スパルタが作ったチャンスの多くは右サイドから。試合開始直後は、ライトと三戸の呼吸が合わないシーンがいくつかあったが、早めの時間帯で三戸の特徴を掴んだライトが好パスを供給し始め、敵の背後に走ったり、ライン間でポジションを取ったりした三戸が前半だけで4本のクロスを入れた。
「自分は(スパルタの)プレシーズンにいなかったので、(ライトが)どういう選手なのかあまり分かりませんでした。やっていくうちにコミュニケーションが取りやすくなって、相手がやりたいこと、自分がやりたいことの理解をお互いにしながらできたかなと思います」
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オリンピックのサッカー競技はU-23カテゴリーの特殊な大会だが、宇部市、新潟市、御殿場市、福島県双葉町など、三戸と関わりのある幾つかの地域のメディアが大きく報道するなど、ワールドカップとは少し違った盛り上がりがある。短くも濃かったパリ五輪を三戸は今、どう振り返るのか。
「自分としても出たかった大会でした。すごく緊張感のある大会でしたね。自分の中でも一番楽しかったし、悔しかったし。そういう大会でした。大きな大会だったので(負けて)悔しかった。また、最後の年代別代表ということもあって悔しかったですね。だけど大会自体が大きかったので、楽しかったです」
日本が準々決勝でスペインに完敗(0-3)したのは事実。それでも、いくつかのキーポイントで日本に不運があったのも確か。スペイン戦から8日経った。三戸はスペイン戦をどう受け止めているのだろうか。
「チームとしての差、個人としての差もあったので“0-3”ということをしっかり受け止めました。でも、逆に3-0で勝ったかもしれないですし、完敗だったとは思わないですね。0-3で負けたのは納得いくけれど、もし3-0で勝っていても納得していた」
――どっちもありえたと?
「はい」
「オリンピックでの悔しい経験を活かして、しっかりスパルタで結果を残したい」という三戸は「今年が勝負の年です」と語る。
――「勝負の年」とは、ステップアップのことを指すのか?
「はい。ステップアップのための勝負の年だと思ってます」
9月28日に22歳の誕生日を迎える三戸は今季に向けて「やり切ります!」と力強く語った。
取材・文●中田 徹
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