倉持美穂がフォアハンドのランニングカウンターを伝授。カギとなるのは軸足の決め!【プロが明かすテニス上達法】<SMASH>

 プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか? その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は早稲田大学卒業後プロ転向し、飛躍的に成長した倉持美穂選手が登場。フォアハンドのランニングカウンターのポイントを教えてくれた。

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 相手が振ってきたのを逆に利用して、ワンショットで形勢逆転に持っていくことは試合でも多く、ランニングのカウンターは得意な方です。高校の頃まではもっと自分から打っていた記憶がありますが、大学に入って1対2の振り回しなどを数多くこなして、粘り強さが身に付いたと思います。もともとカウンター練習は好きでしたが、自分のものとして試合の中で使えるようになったのは大学からですね。

 カウンター練習というのは、シンプルに厳しい球出しをしてもらったり、1対2のラリーでストレートからクロスに振ってもらったりします。しっかりボールに追いつき、意識して切り返す練習です。

 この写真はフォアのカウンターですが、技術的に注意しているのは、まず身体を開かないことです。以前は身体が開いた状態で走って行って打つことが結構ありましたが、なるべく左肩を入れて身体を残し、軸足(右足)を決めるまでは耐えるように意識しています(写真2コマ目)。

 身体が早く開くとしっかりボールを飛ばせません。最後までため込んで打った方がボールにパワーが伝わるし、安定感も上がります。
  それからフットワークですが、このショットでは右足を決めた後に、左足をクローズドに送りながら打っています(3~5コマ目)。カウンターは足の入り方が何種類かあるんです。右足を踏ん張って打つか、走りながら打つか。ここではかなり追い出されているので、後者を選択しています。

 そして打った後に大事なのは右足です。次に備えるために右足の蹴りで戻るので、いいポジションに右足を置けるように意識しています(7コマ目)。

 スイングに関しては感覚で打っている部分もあるんですけど、こういう際どいショットの場合は、強く叩こうとするよりも合わせるイメージを持つといいですね。自分から大振りせずに、相手のボールの勢いを利用して、面を正確に出すことを心掛けています(4コマ目)。

【プロフィール】倉持美穂/くらもちみほ
1998年6月9日、神奈川県生まれ。166cm、右利き。2020年に関東学生を制し、21年に早稲田大学を卒業と同時にプロ転向。WTAノーランキングからスタートし、昨年はITFツアーで2勝するなど、現在(24年8月)は369位までランクを上げている。国内ランクも卒業時73位から24年春には12位までアップ。鋭い攻守の切り替えが持ち味。SBCメディカルグループ所属。

構成●スマッシュ編集部
取材協力●SBCドリームテニスツアー
※『スマッシュ』2023年1月号より再編集

【連続写真】倉持美穂のフォアハンドのランニングカウンター『30コマの超分解写真』

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