現地時間8月10日(日本時間11日、日付は以下同)、パリオリンピックの5人制男子バスケットボールは、アメリカ代表が決勝戦で開催国のフランス代表相手に98-87で勝利し、大会5連覇を達成して幕を下ろした。
今大会で、アメリカは外国籍出身選手を除けば“ベストメンバー”と言っていい布陣をパリへ送り込み、6選手が平均2桁得点を奪取。大会MVPのレブロン・ジェームズ、オールスター5(大会ベスト5)入りしたステフィン・カリー、ケビン・デュラント、デビン・ブッカーが平均20分以上のプレータイムを得た。
その一方、最年長39歳のレブロン、カリー(36歳)、デュラント(35歳)が平均得点のトップ3を占拠。結果として6戦無敗でトーナメントを制したとはいえ、アメリカがパリの地で“世代交代できたか”という観点で見れば、おそらく答えはノーだ。
昨年のFIBAワールドカップへ出場し、昨季NBAのアシスト王にも輝いたタイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)は出場3試合で平均わずか8.8分。そして昨季ボストン・セルティックスをリーグ制覇へ導いたジェイソン・テイタムは、4試合のみの出場に終わっていた。
2021年の東京大会、テイタムはデュラントの平均20.7点に次ぐチーム2位の同15.2点に3.3リバウンド、1.2アシスト、1.2ブロック、3ポイント成功率44.7%(平均2.8本成功)をマーク。
26歳のフォワードは現在5年連続でオールスター入り、オールNBAチームにも4度選ばれていて、しかも直近3年間はいずれも1stチーム入りしている。今夏には5年3億1400万ドル(7月1日のレートで約505億5400万円)のスーパーMAX契約と、NBA史上最高額の契約を結んでいただけに、起用されない試合があったことに驚いた人もいたはずだろう。
準決勝のセルビア代表戦でテイタムが2度目の“出場なし”に終わった後、スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はこう話していた。
「ジェイソンがこなしていること、やっていないことがすべてではない。(ロスター内の)グループとして一緒にプレーしてきたかどうかなんだ。ケビン(デュラント)がケガから復帰したことでローテーション入りした。何よりもこれは(コートに立つ5人が織りなす)数字上の問題なんだ」
だが指揮官の発言に対し、テイタムの父ジャスティンはX(旧Twitter)で「おいおい。そんなものはデタラメだ!!」と嚙みついていた。
また、セルビア戦後に米スポーツ専門局『ESPN』でアナリストを務めるディック・バイタルは、自身の公式Xで「誰か教えてくれ。オールNBAチーム入りしたジェイソン・テイタムはケガでもしているから十分なプレータイムをもらえていないのか」と投稿した際に、母ブランディ・コールがこう怒りを露わにしていた。
「いいえ、彼はケガなどしていない。どうしてこういう状況になっているのか、わかったら教えて。こんなの受け入れられないし、まったく理解できないの」
テイタムはNBA、国際大会の双方で実績を残しているだけに、彼の両親がフラストレーションを抱えるのも頷ける。今回の起用法が正しかったのかどうか、今後長きにわたって議論が続きそうだ。
文●秋山裕之(フリーライター)
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