実写化作品において、キャラの再現度にはよく注目が集まります。とくに悪役に関してはそのクセの強さや不気味さで、演じるのが難しい役どころです。なかには、イケメン、美女俳優が見事に再現した恐ろしすぎる敵キャラもいました。
不気味な笑みを浮かべるイケメンの稀咲『東京リベンジャーズ』第2弾ムビチケビジュアル (C)和久井健/講談社(C)2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会
【画像】え…っ? 「堂本剛の高杉が色気あり過ぎ」 こちらが原作ファンに注目された実写の悪役です(6枚)
原作以上の恐ろしさに圧倒される
マンガの実写化作品は、キャラクターの再現性が評価されるポイントのひとつでしょう。特に「悪役」キャラは狂気や恐ろしさを秘めたキャラも多いため、単なるルックスや雰囲気だけでは再現が難しい役どころもあります。そのような悪役を見事なクオリティで演じたイケメン、美女俳優もいました。彼らは、どのように作品に臨み、評価されてきたのでしょうか。
『東京リベンジャーズ』稀咲鉄太(演:間宮祥太朗)
実写映画『東京リベンジャーズ』は、2021年7月に公開されて人気を博し、2023年には続編『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』前後編が公開されました。本作は、死亡した元恋人や仲間を救うため、中学時代と現代のタイムリープを繰り返す主人公「花垣武道(愛称:タケミチ/演:北村匠海)」の奮闘を描いた、人気ヤンキーマンガ『東京卍リベンジャーズ』(原作:和久井健)が原作です。
実写『東京リベンジャーズ』では、間宮祥太朗さんがタケミチが属する不良チーム「東京卍曾」と敵対する、「愛美愛主(メビウス)」の一員だった「稀咲鉄太」を演じています。現代で危険な半グレ組織となった「東京卍會」の幹部として1作目冒頭から登場し、全裸のヤクザをひき殺す寸前まで追い込むオリジナルシーンで邪悪な笑顔も披露しました。
東京卍會総長「佐野万次郎(演:吉沢亮)」に次ぐNo.2「龍宮寺堅(演:山田裕貴)」の殺害計画など、稀咲はタケミチの周りで起こる抗争や事件の裏で暗躍し、彼の運命を狂わせる元凶です。熱い心を持つキャラが多いなか、冷酷で策略家という異質な存在の稀咲は、間宮さんによる怪演で強いインパクトを残しました。
間宮さんは「girlswalker」のインタビューで、自身より小柄で線の細い稀咲を演じるにあたり「稀咲のまとっている空気感や印象だけを残していけたらと考えていた」と語っていました。
稀咲の不気味さ、狂気がにじみ出る表情などの特徴を細やかに再現しつつ、持ち前のビジュアルをしっかりと活かした演技は原作ファンからも好評で、「背丈もあったから原作よりも稀咲の怖さが増していた」「表情も狂気じみてまさに怪演」「1作目に関しては出演時間短かったのに存在感ハンパなかった」などと評価されています。
『ゴールデンカムイ』二階堂浩平、洋平(演:柳俊太郎)
明治の北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金の争奪サバイバルバトルを描いた人気マンガ『ゴールデンカムイ』(原作:野田サトル)は、2024年1月に実写映画が公開されています。本作は、主人公「杉元佐一(演:山崎賢人)」をはじめ、キャストの再現度が高いことが特に評価されており、埋蔵金を使って新しい国家をつくろうとする大日本帝国陸軍第七師団の団員「二階堂浩平、洋平」の双子兄弟の怪演にも注目が集まりました。
粗暴な性格で外見、行動ともにそっくりな二階堂兄弟は、柳俊太郎さんがひとり2役で演じています。柳さんは端正なルックスだけでなく、パリコレ出演経験もある抜群のスタイルを持ちますが、特殊メイクもあって映画だけ観るとそのようなイケメンが演じているとは、とうてい思えないのではないでしょうか。
劇場パンフレットによれば、柳さんはもともと原作ファンかつ二階堂兄弟がお気に入りのキャラだったそうで、かなりのこだわりを持って彼らを演じています。ボディダブル(双子の代役)の人の動きをしっかり覚え、二階堂たちの「首の角度」「蛇っぽい動き」も意識して演じたそうです。実写オリジナルの杉元との格闘シーンでも、身体を反らせる異常な動きで狂った雰囲気を出すなど、並々ならぬこだわりを見せています。
狂気的な敵役ながら、かわいげのあるギャップに魅了された人が多く「実写映画見てからさらにふたりが愛おしくなった」「イカれっぷりが原作のまんま」などの声があがっていました。
1作目で洋平が杉元に殺されたため、続編のドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ ―北海道刺青囚人争奪編―』以降は、柳さんは浩平だけを演じることになります。予告編やキービジュアルでは、ある理由で特殊な「ヘッドギア」を着けるようになった浩平の姿も披露され、「めちゃくちゃ再現度高い」「原作通りちゃんとかわいい」と、こちらも評判のようです。
松雪さん演じる妖艶なラストが映った映画『鋼の錬金術師』キャラクタービジュアル (C)2017 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2017 映画「鋼の錬金術師」製作委員会
(広告の後にも続きます)
「気配のコントロール」で人間離れした美しさを再現
『鋼の錬金術師』ラスト(演:松雪泰子)
人気ダークファンタジーマンガ『鋼の錬金術師』(原作:荒川弘)は、2017年から2022年にかけて3作の実写映画が公開されました。本作は錬金術が発展した世界を舞台に、人体錬成の禁忌を犯して身体を失った兄弟の身体を取り戻す旅を描いた作品です。
実写『鋼の錬金術師』で評判を呼んだのが、女優の松雪泰子さん演じる「ラスト」の再現度でした。彼女は主人公「エドワード・エルリック」(演:山田涼介)ら錬金術師と対立する人造生体「ホムンクルス」のひとりで、作中きってのセクシーな美女です。
松雪さんは所属事務所スターダストプロモーションの「STARDUST WEB」のインタビューにて、役作りのため3kgの増量や、7回ほどにわたる衣装合わせなど、ラストの再現性を高めるための肉体改造や入念な準備を行ったことを明かしています。原作とアニメを観て撮影に臨んだ松雪さんは、ラストの恐ろしさを表現するため「気配のあり方、消し方」など、気配をコントロールすることまで意識したそうです。
映画で松雪さんは突然現れたり消えたりという、ラストをイメージする上で欠かせないゾッとするような表現も見事に演じ切り、「人間離れした美しさと妖艶さだけじゃなくて、ラストの恐ろしさまでまんま」「『鋼のぼうや……』のセリフ、雰囲気ぴったり」「思わずひれ伏したくなるほどに魅力的」など、原作ファンからも高く評価されました。
※柳俊太郎の実際の栁の字は「木」偏に「夘」