「タフな経験になった」不遇を味わったテイタムがパリ五輪後の心境を吐露。一方で「(ロス五輪参加への)決断には影響しない」<DUNKSHOOT>

 今夏に行なわれたパリオリンピック、ジェイソン・テイタムは厳しい時間を過ごした。

 NBA2023-24シーズン、テイタムはボストン・セルティックスのエースとして平均26.9点をマークし、3年連続4度目のオールNBA1stチーム選出、さらには自身初優勝を経験。満を持してアメリカ代表に参加し、スター軍団の一員となったものの、チームが大会5連覇を成し遂げた裏で2試合でローテーション外となり、平均17.7分のプレータイムで5.3点にとどまった。

 チームには同じフォワードのポジションにレブロン・ジェームズやケビン・デュラントといった絶対的なスーパースターがいたこと、また7月上旬にラスベガスでスタートしたトレーニングキャンプに、テイタムは個人的な事情で参加が遅れていたことなど、テイタムに出番が与えられなかった理由はいくつか考えられる。

 これらが要因になっているのかはわからないが、パリ五輪のロスターでテイタムが十分なプレータイムを獲得できなかったことは事実。NBA屈指の実力者であり、前回の東京五輪ではデュラントに次ぐチーム2位の平均15.2点をマークし金メダル獲得に貢献、2014年のU17、2015年のU19ワールドカップにも出場していずれも優勝するなど国際大会でも結果を残しているだけに、今回の扱いは本人にとっても思うところがあるだろう。
  ただ、大会終了後にテイタムは「コートでは個人的にタフな経験になった。けどこの感情が決断に影響することはない」と、2028年ロサンゼルス・オリンピックに向けた代表チーム入りを拒否する要因にはならないと発言していた。

「今すぐに僕が2028年にプレーするかと聞かれたら…。今から4年後だし、(答えるまで)時間をもらうし考えていくことになる。けど、僕が個人的に味わったことや、今回の経験がベースになって決めていくことはない」

 大会中にいろんな人からテキストを受け取ったとも明かしたテイタム。この悔しさをNBAのコートにぶつけて、セルティックスを連覇へ導く原動力へと変えることになるかもしれない。

 自身2度目のオリンピックは、苦くて悔しい舞台となった。だが4年後に30歳を迎えるテイタムは、アメリカ代表でも間違いなく主軸を務める能力を持つスターだけに、是非ともまた代表チームのユニフォームに袖を通してほしい限りだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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