154センチ森秋彩に立ちはだかった“0点”課題に、日本人女性初のプロクライマーは「高身長より不利であるが攻略可能」世間と「認識の違いがある」と私見!【パリ五輪】

 現地時間8月10日に行なわれた、パリ五輪スポーツクライミング女子複合の決勝に日本の森秋彩が出場。135.1点で4位となり、惜しくもメダルを逃した。ボルダーの4つの課題のうち1つしか完登できず、特に第1課題の大会側のルート設定に疑問の声が上がり、物議を醸している。
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 小柄な体格の森(154センチ)は、第1課題の競技中、スタートホールドに手が届かず、苦戦。制限時間内に登ることができず、0点に終わった。競技後半のリードでは全体最高の96.1点をたたき出したが、得点及ばずメダルを逃した。

 これには「低身長」など身体的な理由と大会側のルート設定に疑問の声があがり、大きな話題となった。同件について、日本人女性初のプロクライマーで、2020東京オリンピック・パラリンピック教育事業講師やスポーツクライミングの解説者を務める尾川とも子氏は、自身のX(旧ツイッター)を更新し、私見を述べた。

 日本人女性初のプロクライマーの尾川氏はXで、森の第1課題について「身長の低さ故もあるが…。この手の課題は両手同時に狙ったほうがいい」と経験に基づいた意見を述べた上で、続けて「身長が低いから遠いところやジャンプなど高身長より不利ではあるが、体の向きや手足の乗せ方順番で、攻略可能」と私見を記した。

 そんな第1課題のような壁の攻略例として、イタリアのラウラ・ロゴラ(152センチ)を引き合いに出し、同氏は「ロゴラを知らない人には森が不利に見える課題でも、152(センチ)のロゴラは攻略していく」と綴った。

 また、尾川氏は11日にXで「欧米の森イジメと言ってますが、そもそもクライマーの仲間意識からしたら、欧米クライマーが森選手をイジメる理由がわからないし無いと思う」と物議の「森イジメ」を否定した。
  続けて、同氏は別の投稿で「不公平をどう見るか? 問題の第1課題は低身長の森(154センチ)が不利にみえる。しかし第3課題は高身長の豪州オセアニア・マッケンジー(173センチ)は足が畳めない。女子準決勝、南アフリカのローレン・マクエイバー(160センチ)はほとんどワールドカップに出ていないが、難易度は考慮されず0点」と分析した。

 さらに尾川氏は12日にXで「スタート自体が取れない課題は20年以上前からある。課題の良し悪しは、賛否両論あるかもしれません」とした上で、「今回に限って特定の選手を登らせないためにスタートが取れない課題にしたのではないです」と言及した。

 森の0点課題の話題が大きくなるにつれて、尾川氏へのメッセージも過熱。同じく12日にXで「観戦する皆さんは、身長差があるので選手は不幸だと思われているようですが、実は選手側や経験者はそれを乗り越えて頑張ろうと言うのが面白くてやっており、皆さんが身長別にした方がよいとおっしゃっていますが、そんなことをしたところで選手は幸せになれない、そこに認識の違いがあると思います」と選手と観戦側の認識の違いを綴った。

 今大会では、第1課題でスタートホールドにさえ手が届かず、苦戦し、メダルを逃した森だが、競技後半のリードでは全体最高の96.1点をたたき出すなど本来の実力を発揮した。4年後のロスでさらに進化した森の活躍が見られることに期待したい。

構成●THE DIGEST編集部

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