届かなかったあと1点…関田誠大、石川祐希、髙橋藍の恩師が語る、パリ五輪・男子バレー日本代表に足りなかったもの「あそこでタイムアウトを取っていたら…」

「完全に潰された」関田の武器

――五輪前には中大OBの関田選手、石川選手、東山高OBの髙橋藍選手についてお話を伺いました。大会を通して、関田選手はどのように見ていましたか?

うーーん……彼が本来の調子だったか、やりたいようにやれたか、というとそうではないのかなと。初戦でドイツに敗れて、2戦目のアルゼンチン戦はミドルブロッカーを積極的に使っていましたが、アメリカ戦、イタリア戦はそこまでミドルで決めることができないのが苦しそうでした。これはあくまで僕の見解ですが、関田がよくなかったというよりも、ミドル陣の経験値が相手と比べると少し差があったようにも見えました。

――アルゼンチン戦は小野寺太志選手が素晴らしい活躍をしました。その試合を踏まえて次戦のアメリカ、イタリアも対応してきたと?

完全に潰されてしまいましたね。特に顕著だったのがアメリカ戦で、アメリカは徹底して石川をサーブで狙い、ミドルとパイプを含めた真ん中の攻撃を潰してきた。それはアメリカに限らず日本もとる戦術ですし、珍しいことではありません。でも、アメリカやイタリアは日本がそうやって潰そうとしても潰れず、逆に日本は完全に潰されて封じられてしまった。

3セット目に大塚達宣選手が入って、藍と大塚選手のポジションを入れ替え、大塚選手も攻撃を工夫したことで相手のブロックが割れだした。そのために3セット目は取ることができましたが、4セット目になるとアメリカが対応して、関田のよさを完全に消されてしまいました。

彼の強みは、多少苦しい状況、厳しい場所からでもクイックを使い、バックアタックを使えること。その特徴を頭に叩きこんだうえで、関田に思い通りのバレーボールをさせない戦い方を相手がしてきた。

『仕上げてきたな』という印象でしたし、石川と関田のコンビがなかなか機能しなかったことも、日本が苦しめられた要因かなと思いながら見ていました。大変な状況が多い中でゲームメイクをしてきた関田には、あらためて聞きたいことがたくさんありますね (#2に続く)

取材・文/田中夕子