ヒマワリは東を向くことで子孫繁栄を狙っていた

また東を向くヒマワリは、より大きく重い種子をつくる傾向にありました。

ハーマー氏によると、この効果は頭頂部の温度に左右されるようです。

実際、西向きの頭頂部をポータブルヒーターで暖めると、東向きのヒマワリと同じような結果が得られました。

さらに別の実験では、実際に西向きのヒマワリと東向きのヒマワリのどちらがより多くの子孫を生み出すか調査されました。

その結果、東向きのヒマワリの方がかなり多くの子孫を生み出すと判明。

つまりヒマワリは、頭をあえて東向きに固定することで、子孫繁栄をもたらしていたのです。


東向きのヒマワリは子孫繁栄を狙っていた / Credit:Depositphotos

ヒマワリは写真や絵画の題材にピッタリです。

たくさんのヒマワリが同じ方向に花を咲かせるため、「絵になる美しさ」があるからです。

しかしその美しさの秘密は、ヒマワリの「徹底的な生存戦略」でした。

天真爛漫なイメージのヒマワリは、実はかなり計画的で賢い植物だったのです。

※この記事は2022年8月に公開のものを再掲載しています。

参考文献

Why sunflowers face east
https://phys.org/news/2021-08-sunflowers-east.html

Researchers find out why sunflowers always face east
https://www.zmescience.com/science/researchers-find-out-why-sunflowers-always-face-east/

元論文

Flower orientation influences floral temperature, pollinator visits and plant fitness
https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/nph.17627

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。