出場49校が出揃った大会第7日。投手でまず見事なパフォーマンスを見せたのが、第1試合に登場した青森山田の関浩一郎(3年)だ。立ち上がりからヒットこそ許しながらもテンポの良いピッチングを披露。最終的に8本の安打を浴びたが、8奪三振で四死球0、わずか104球で1失点完投勝利をおさめて見せた。
センバツから体重を約7kg増やしたとのことで、軽く投げてもストレートは140キロを超える。1回と9回にはこの日最速となる146キロをマークしたようにスタミナも十分。そして何よりも素晴らしかったのがコントロールだ。投じた104球のうち、ボール球はわずかに25球。ストレートだけでなくスライダー、カットボール、チェンジアップなどの変化球も序盤からしっかりコーナー、低めに集め、常にストライク先行で優位に投球を進めていた。走者を背負ってもスピード、コントロールが落ちないのも持ち味で、牽制やフィールディングなど投げる以外のプレーも上手い。投手としての総合力は今大会だけではなく、高校球界全体でも上位と言えるだろう。
一方の野手で強烈なインパクトを残したのが智弁和歌山の4番、花田悠月(3年・三塁手)だ。第3打席まではノーヒットだったが、8回に迎えた第4打席でレフトポール際へ飛び込むホームランを放って見せた。試合終盤の同点ホームランということももちろんだが、木製バットを使用しての一発ということも大きな話題となった要因である。
ヒットはこの1本に終わったが、続く第5打席でもあわや2打席連発かという弾丸ライナーのファールを放っており、ヘッドスピードの速さとインパクトの強さは素晴らしいものがあった。守備でも少し雑なプレーはあったものの、肩の強さは申し分なく、強打のサードとして貴重な存在である。
関、花田ともに大学進学予定という話も聞こえてくるが、順調に成長すれば4年後のドラフトを騒がせることも期待できそうだ。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】木製バットへ甲子園のスタンドへ。智弁和歌山・花田の強烈な一打
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