土星は水に浮く?
土星は太陽系で唯一の「水に浮く惑星」です。
土星は太陽系で最も密度が低い惑星で、その平均密度は水の約0.7倍です。つまり、土星を十分に大きな水槽に入れれば、プカプカと水面に浮かぶことになります。
水に浮く土星 / Credit:創造情報研究所
土星が水に浮くほど密度が低い理由は、土星が主に軽い元素の水素とヘリウムでできたガス惑星だからです。
木星や地球などの他の惑星は、密度の高い岩石や金属を多く含むのに対し、土星はガス状の水素とヘリウムが圧縮された構造になっているのです。したがって、土星は唯一の「水に浮く惑星」と言えます。
もちろん土星が入るほどの水槽はありませんが、土星の平均密度と同じ密度の物体を水槽に入れれば、その物体は水よりも密度が低いので水面上に浮かぶことになるのです。
同じガス惑星でも木星は水に浮きません。木星の密度は、水の密度の約1.3倍です。木星は土星の3倍以上の質量があり、その重力で中心部のガスが圧縮されているため密度が高くなっています。
また、天王星と海王星の平均密度も木星と同程度です。木星や土星はほとんど水素やヘリウムなどのガスで構成されていますが、天王星と海王星は内部に含まれる岩石や氷の割合が高いため、密度が大きくなっています。
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太陽系で最も多くの衛星を持つ惑星
土星には、2023年までに約150個の衛星が報告されています。
実は、2023年5月にカナダのブリティッシュ・コロンビア大などの国際チームが、土星の衛星を新たに62個発見し、合計で145個になったと発表しました。これにより、土星が木星を抜いて最も多くの衛星を持つ惑星となりました。
なぜ、土星にはこのようにたくさんの衛星があるのでしょうか?
その理由の一つとして、強い重力の影響が考えられます。土星は太陽系で2番目の質量を持つ惑星であり、強い重力を持つため多くの小天体を引き付けておくことができます。
実際に太陽系で質量が最も大きい木星も多くの衛星を持っていることから重力の大きさと衛星の数には関係があることがうかがえます。
土星の衛星の中では、タイタンが直径・質量ともに最大の衛星です。太陽系の衛星としては、タイタンは木星の衛星ガニメデに次いで大きな衛星であり、水星や冥王星よりも大きい天体です。
Credit:NASA/JPL/Space Science Institute
タイタンは、太陽系で唯一濃い大気がある衛星で、表面気圧は地球の1.5倍です。さらに、太陽系で地球以外に、表面に液体の湖や川がある天体でもあります。ただし、これらの液体は水ではなく、エタンやメタンで構成されています。
その他の土星の衛星は、エンケラドス以外は主に岩石や氷から形成されています。土星の惑星は氷を多く含んでいるため、総じて密度が低いと考えられています。