ダイヤモンドの雨が降る

天王星の内部は超高圧のため、その高い圧力によってメタンから作られたダイヤモンドの雨が降っているかもしれません。

天王星は「氷の惑星」と呼ばれていますが、実は内部は水素や炭素を含む高密度の液体の「海」になっています。

この液体は数千度の高温かつ地球大気の数百万倍もの超高圧状態にあります。この圧力は、地球の中心部の圧力の約4倍に相当します。

このような極限環境下では、水素と炭素が圧縮されてダイヤモンドになると考えられています。つまり、天王星の内部ではダイヤモンドの「雨」が降っているという仮説があるのです。海の中でできたダイヤモンドは重いので中心部に沈んでいきます。この様子をダイヤモンドの「雨」と表現しています。

この仮説を実証するため、研究者らはX線自由電子レーザーを使って天王星内部の環境を再現する実験を行いました。

この実験では、ポリスチレンというプラスチック材料に高出力のレーザーを照射することで天王星内部の環境を再現しています。ポリスチレンは炭素と水素が鎖状につながってできた物質(炭化水素)です。メタンは天王星内部の高温・高圧下ではこのような鎖状の炭化水素を形成していると考えられています。


ポリスチレンの構造 Credit:Leyo, Public domain, via Wikimedia Commons

レーザーによる衝撃波によって瞬間的に超高圧の状態を実現することができます。

その結果、プラスチック材料の炭素原子同士の結合方法が変化し、ダイヤモンドの結晶構造を形成することが確認されました。


ダイヤモンドの結晶構造  Credit:Anton at German Wikipedia, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons

つまり、天王星内部の超高温・超高圧下では、メタン(水素と炭素の化合物)から作られたダイヤモンドの雨が実際に降っている可能性が高いと考えられています。

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天王星にも環があった

天王星の環

天王星の環は1977年に、恒星が天王星に隠される現象の観測中に偶然発見されました。

天王星に隠される前後、ほぼ同じように恒星が減光されたことから、環の存在が明らかになったのです。この現象の観測からは5本の環が見つかりました。その後のボイジャー2号やハッブル宇宙望遠鏡の観測により天王星には13本の環があることが分かっています。


天王星の環 Credit:NASA/JPL

天王星の環の特徴

天王星の環は木星や土星の環に比べてはるかに暗く、質量も小さいです。環が暗いのは環を構成する粒子が炭素質の黒っぽい物質で覆われているからだと考えられています。

また、輪と輪の間隔がだいたい1000km以上あるのに対して、輪の幅は非常に細く、最大の輪でも20〜100kmしかないのが特徴です。環の中でも天王星の最も外側にあるε環は非常に細いことが知られています。

ただ環を構成しているのは、氷や岩のかけらなど、砂粒ほどの小さな粒子のため、長い年月の間に互いに衝突を繰り返して環の幅は自然に広がるはずだと予想されました。そのためどうして細いままなのかは研究者にとっても非常に不思議な問題でした。

この謎は1986年のボイジャー2号探査機の観測によって解かれました。

ε環のすぐ外側と内側に、ほぼ同じ大きさの2つの衛星が発見されたのです。シェークスピアの小説の登場人物にちなんでコーデリアとオフェーリアと命名されたこの2つの衛星は、重力作用によってその間にある環の形状を一定に保っていたのです。

これはあたかも羊が群れを離れないよう見張っている牧羊犬に似ていることから、このような衛星を「羊飼い衛星」と呼んでいます。

細い環は、こうした小さな衛星の絶妙なコントロールによって成り立っているのです。

同様の現象は土星のF環でも見られ、両側にパンドラとプロメテウスという2つの羊飼い衛星によって守られています。こうした羊飼い衛星のような役割を果たしている小さな衛星が、まだ他にも多く存在するかもしれません。

環の起源については不明な点が多いものの、天王星の衛星が環の材料源になっている可能性が考えられています。

このように、天王星には細く暗い環が複数存在しており、その形状維持には小さな衛星が関与していると考えられています。今後の探査機による直接観測で、さらに詳細が明らかになることが期待されています